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塩田紳二のWindows 8 IN-N-OUT 第26回

実はNFCに対応しているWindows 8 ただしアプリは不足

2012年11月22日 12時18分更新

文● 塩田紳二

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 あまり言及されることのないWindows 8の新機能のひとつに、「NFCへの対応」がある。当然だがこの機能はハードウェアが絡むので、対応するNFCリーダーライター機能がなければ試せない。

 「そんな機能に対応したPCは聞いたことがない」という読者の方もいらっしゃるだろう。実際、ごく最近登場したもので、ソニーやいくつかのメーカーのWindows 8搭載PC(例えばVAIO Duo 11)に、NFC搭載製品がラインナップされている。また、一部の非接触ICカードリーダーにも、NFCリーダーライターの機能がある。

多くのスマートフォンが対応を進めるNFC

 そもそもNFCとは、「Near Field Communication」の略で、近距離の無線通信をさす。微弱な電波を使って、10cm程度までの短い距離でデータ通信する技術だ。似たようなものに「非接触ICカード」(SuicaやICOCAでおなじみのあれだ)「RFID」などがある。似たものというか、RFIDと非接触カードとNFCは、ある種の地続きのようなものだ。こうした近距離通信技術は、無線通信部分が標準化機関「ISO」で規格化され、規格に準拠することで、無線の周波数や変調方式などの物理的、電気的な仕様が固まっている。

 近距離通信技術は、微弱な電波を使うコンピューター間や、コンピューターと簡易なデバイス間の通信技術としても注目されていた。近距離と限定することで消費電力を小さくできるし、盗聴を困難にするといったメリットがあったからだ。この近距離通信技術をNFCと呼ぶこともあったのだが、現在では標準化団体である「NFCフォーラム」が定めた仕様を「NFC」と呼び、それ以外の近距離通信技術と区別している。

 「おサイフケータイ」機能に対応したフィーチャーフォンやスマートフォンは、NFC機能にも対応している。おサイフケータイ付きでも、初期のスマートフォンの一部は対応していないが、2012年に登場したほとんどの機種は対応ずみだ。

 また海外のスマートフォンでも、NFC機能を搭載しているものがある。Googleの「Nexus」シリーズの場合、2010年2月に登場した「Nexus S」から、NFC機能を搭載していた。NFC機能は日本固有ではなく、世界中で利用可能な技術なのだ。

NFC対応でも話題を呼んだ2010年のスマートフォン、Google「Nexus S」

NFCの3つのモード

NFCには「カードエミュレーション」「リード/ライト」「P2P」の3つのモード(機能)がある

 NFCフォーラムはNFCの機能として、大きく3つを定義している。ひとつは、NFC対応機器同士の「P2P」(Peer to Peer)通信。もうひとつは、NFCによる無線タグの「リーダー/ライター」機能。そして非接触カードの「カードエミュレーション」機能である。NFCフォーラムの定義では、おサイフケータイ機能は、このエミュレーション機能に相当する。

 NFCの3つの機能は同居が可能で、通信プロトコルで違いを区別できる。そのためNFCを正しく実装すれば、対応機器を向かい合わせるだけで、相手に応じて正しく通信できる。駅の改札口でかざせばカードエミュレーションモードとなって対応のアプリが動作するし、NFC対応スマートフォン同士を向かい合わせればP2Pによるデータ通信が、タグにかざせばリーダー/ライターモードが起動するようになっている。ユーザーは必要なアプリケーションをインストールしておく必要はあるが、使いたい機能に合わせて起動しておく必要はない。

 NFCのリーダー/ライターモードは、データ交換のフォーマットを定義していて、無線タグをさまざまなものに取り付けて、これをNFC対応機器で読み書きすることを可能にする。これを使えば、QRコードの代わりにURLのような情報が入ったカードやポスターを作ることができ、サービスの案内や情報入力などに利用できる。

 P2P通信は小さな情報を交換するためのもので、これを使うことでコンピューター間での近距離通信が可能になる。最近話題の「スマート家電」などは、このP2Pによる通信機能を使ったものだ。AndroidスマートフォンやAndroidタブレットに装備されている「Androidビーム」機能も、NFCのP2P通信を応用したものだ。

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