今回は、ARM版Windows 8である「Windows RT」と、それを搭載したマイクロソフトのタブレット「Microsoft Surface」について見てみることにしよう。なお外観やレビューについては別掲の記事があるので、そちらを参照していただきたい。
仕様で比較する
Surface対Nexus 10対iPad
以下の表は、Surfaceと競合製品である「Nexus 10」、第4世代の「iPad」の仕様を比較したものだ。Surfaceが発表されたのは2012年6月だっだが、他の製品はごく最近の出荷直前に発表されている。つまり仕様が確定するまで半年の時差があるわけで、その間に競合製品はSurfaceを上回る仕様に設定された可能性もある。CPU性能では同等の3者だが、価格やカメラの仕様などでは、Surfaceには見劣りする部分がある。
Surface | Nexus 10 | iPad(第4世代) | |
---|---|---|---|
OS | Windows RT | Android 4.2 | iOS 6 |
CPU名 | Tegra 3 | Exynos 5-Dual | A6X |
CPUアーキテクチャー | Cortex-A9×4 | Cortex-A15×2 | Cortex-A9×2 |
CPU周波数(GHz) | 1.3 | 1.7 | 1.3 |
メモリー | 2GB | 2GB | 1GB |
ストレージ | 32GB/64GB | 16GB/32GB | 16GB/32GB/64GB |
無線LAN | a/b/g/n | b/g/n | a/b/g/n |
画面サイズ(インチ) | 10.6 | 10.055 | 9.7 |
画面解像度 | 1366×768 | 2560×1600 | 2048×1536 |
カメラ(Mpixel、背面/前面) | 0.9/0.9 | 5/1.9 | 5/1.3 |
メモリーカード | microSDXC | × | × |
USB | フル-ホスト×1 | マイクロ-OTG×1 | ×(要変換アダプタ) |
HDMI | microHDMI | microHDMI | × |
NFC | × | ○ | × |
GPS | ○ | ○ | 3G/4Gモデルのみ |
バッテリー容量 | 31.5Wh | 9Ah(33.3Wh)※1 | 42.5Wh |
サイズ(cm) | 27.5×17.2×0.94 | 26.9×17.8×0.89 | 24.1×18.6×0.94 |
重量 | 680g | 603g | 652g |
3G/4Gモデル | なし | なし | あり |
最小構成価格 | 499ドル(32GB) | 399ドル(16G) | 499ドル(16GB) |
※1 Whは3.7Vとした推定値
Windows RTはWindows 8をベースに、ARM系プロセッサー上で動作するように移植したものだ。基本的にはWindows 8なのだが、CPUアーキテクチャーがまるで違うので、x86/x64用の(機械語命令)プログラムは動作しない。さらにWindows RTでは、基本的にデスクトップ環境では、サードパーティーのアプリケーションを動作させることができないようなプロテクトがかけられている。たとえARMの機械語コードでプログラムを作ったとしても、デスクトップモードで動かすことはできない。
基本的に最初からOSに組み込まれているユーティリティーや、「Office Home and Student 2013 RT」だけしか動作できない。もっとも、バッチコマンドやPowershell、Windows Scripting Host(WSH)は残っているので、システム系のスクリプトを作ることは不可能ではないようだ。
基本的にWindows RTでは、Windowsストアアプリ(Windows 8スタイルアプリ)を利用する。Windowsストアアプリは、CPUアーキテクチャーに依存しないように開発することが可能で、開発時の設定により、x86/x64とARMのどちらでも動作可能なアプリケーションを開発できる。
ただし、Windowsストアアプリは必ずしも、ARMとx86の両方で動作するわけではない。実際、Googleの提供している「Google searchアプリ」は、x86/x64のみの提供でWindows RT版は(今のところ)提供されていない。このように、Windowsストアアプリをどのプラットフォーム向けに提供するかは、開発者の意向次第である。また、WindowsストアアプリはWindows 8/RTでなければ動作しないので、Windows 8とともにストアがオープンした現時点では、他のプラットフォームに比べるとアプリケーション数では不利な部分がある。
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