総合スポーツメーカーのミズノは、顧客向けサービスのWebサイト監視に「HP SiteScope software(以下、HP SiteScope)」を導入した。ユーザーの実操作をなぞったきめ細かな監視は、顧客満足度向上や情報システム部の管理負荷軽減に大きく寄与している。
オープン系システムへの移行で監視ツールが重要に
1906年の創業以来、日本のスポーツ品産業をリードし続けてきたミズノ。多くの競技種目の品目を生産し、国内外から高い評価を受けている。また、スポーツ振興にも大きな力を注いでおり、小さなスポーツ大会からオリンピックのような国際スポーツ大会まで幅広く協力を行なっている。今夏の「ロンドンオリンピック」においても、日本代表選手団にオフィシャルスポーツウェアを手がけたほか、ミズノトラッククラブの室伏広治選手、ミズノスイムチームの寺川綾選手がメダルを獲得している。直近では、11月25日の大阪マラソンに協賛しており、「大阪マラソン2012」のテーマであるレインボーカラーをソールに採用した「WAVE INSPIRE9 OSAKA」も販売している。
こうした同社の業務システムの導入や運用を手がけるのが情報システム部になる。ミズノ 情報システム部 開発課 山田 欣史氏は、「現在、20名程度でメインフレームの基幹システムのほか、周辺のオープンシステム系の運用を行なっています。また、2013年には、基幹システムのリプレースが控えており、その開発に追われている状況です」と語る。
同社がオープン系システムへの移行を本格化させたのは、2000年にさかのぼる。そこから現在に至るまでさまざまなシステムがオープン化されたが、増え続けるサーバーの運用管理は大きな課題だったという。「メインフレームのようにアラートが出たら、オペレーターが対応するという運用ではありません。コンソールなどはないので、ツールを使って作業を自動化する必要がありました」(山田氏)とのこと。そこで、同社ではオープン系システムの監視を効率化するため、ログやサービスの監視を行なう「NetIQ AppManager」、Web系サービスの動作を監視する日本ヒューレット・パッカード(以下、HP)の「Internet Services」という2つの監視ツールを2002年に導入したという。これが同社のシステム監視ツール導入の発端である。
サイトのダウンは機会利益の損失に直結する
同社が特にWebサービス系の監視システムに対して少なくない投資を行なう理由は、監視対象のサイトの動作が、ビジネスに直結してくるからにほかならない。
監視対象のサイトの1つは、販売店向けの受発注システムである。もとよりスポーツ用品の業界では、国内のどのメーカーもこうした販売店向けの受発注サイトを持っており、しかも業界内でユーザーインターフェイスなどをある程度統一しているという。競合他社が同様のサイトを持っているということは、得意先のメーカーに対する信頼度やイメージが、システムの信頼度や出来具合に大きく影響されることを意味する。サイトのダウンは、ビジネスにとって実はかなりクリティカルなのだ。「客注と呼んでいますが、店頭にない在庫を販売店様の担当者が商品を検索する際、システムがダウンしていたり、ページが表示できないということはあってはいけません。明日、子供の運動会で履いていきたい靴を探しているのに、受発注サイトが使えなかったら、間違いなく次のメーカーをあたってしまいます」(山田氏)とのことで、機会利益の損失に直結する。
その他、ユーザーごとの商品カスタマイズを行なう別注サイトや、法人顧客向けのサイトなども、同様にクリティカルである。同社ではこうしたサイトを運用している20台近くのサーバーを監視対象にしているという。
(次ページ、「狼少年」的なシステム監視ツールにさよならを)
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