デノンが贈る、新世代ヘッドフォン+ネット対応オーディオ 第2回
MUSIC MANIACはこうして生まれた!!
DENONサウンドマネージャー米田晋氏に聞いた「音作り」の秘訣
2012年11月07日 11時00分更新
リファレンスとなる楽曲はどう選んでいるか
―― 音質のチューニングでは重要な部分だと思いますが、リファレンスとなる楽曲はどんなものを使っているのでしょうか?
米田 基本的にヘッドフォンに限らず、すべての製品の確認で聴く音楽ソースは同じものを使っています。
―― 試聴曲を集めてCD-Rに焼いているんですね。レーベルまで自作しているとか、手が込んでいますね。
米田 今はこんな自作のCDも手軽に作れるようになったのは便利です。
―― 曲は、クラシックやジャズ、ボーカルと、ピュア・オーディオでの名曲が多いですね。ドリー・ベーカーのボーカル曲や、リッカルド・シャイー/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦の曲などがありますね。
米田 試聴に使う楽曲は自分で聴いて良いと思ったものを選んでいます。もちろん好きな曲というだけでなく、音の判断材料になるかどうかも考えたセレクトです。
音質のいい録音と、よく聞かれる録音の違いをどう考えるか
―― Hi-Fiのための音質チェックとしては十分だと思うのですが、最近のヘッドフォンユーザーは若い人が多いですし、主に聴く曲の傾向も違いますが、そのあたりはどのようにお考えですか?
米田 商品の方向性に合わせて、設計の方から「こういう曲も聴いて欲しい」と持ち込まれることもあります。ハウスミュージックなどのビートの聴いた曲でしたね。あまり聴きたくはないんですが(笑)
―― あまり最新のヒット曲などは良いイメージがないようですが。
米田 音楽として好きかどうかよりも、録音が良くなくてチェックに使うには不十分なのです。ポップス曲は音圧レベルを上げすぎて、結果的にダイナミックレンジの狭い録音が増えています。
これは、いろいろなアルバムの曲をシャッフルして聴くのが今のスタイルなので、ダイナミックレンジを広くとり、そのため平均的な音圧レベルが低くなる録音は、平均音圧レベルの高い曲に比べて音量が足りないと感じてしまいがちです。それがすなわち音が悪いとなってしまいます。それを防ぐため、どの曲も音圧レベルが高くなるようです。
―― 小音量から一気に大音量に高まっていくようなダイナミックさは音楽の魅力のひとつだと思いますが、その良さが失われる傾向にあるというのは、少々心配な部分でもありますね。
米田 ヘッドホンによるリスニングスタイルにも変化があると感じます。ただし、良質な楽曲をきちんと聴くHi-Fi的なスタイルがなくなったわけでもありませんし、デノンとしてもこうしたリスニングを楽しむ人に満足できる製品を作って行きたいと思います。手軽にノリがよく聴けるものなど、時流に合わせて音作りを変える考え方もあると思いますが、それでいいのならば、デノンがヘッドフォンを作る意味はないと考えています。オーディオブランドとしての信頼感を与えることもデノンとしては重要な要素です。
―― デノンならば音質的には安心と感じられること。デノンなりの揺るがない音作りがあるというのは、とても大事なことだと思います。今では、ハイレゾの楽曲配信もスタートするなど、PC中心の音楽視聴でもかなり高品質な音を楽しめる環境が整ってきていますから、しっかりとHi-Fi的な音をベースに製品作りをすることはより重要になると思います。
ところで、試聴に使ったプレーヤー機器についてですが、これも単品コンポーネントでテストしているのですか?
米田 単品コンポーネントによるテストも行いますが、実際の使用状態に合わせて携帯プレーヤーもいくつかの種類を確かめています。携帯プレーヤーは出力レベルもまちまちですから、ある程度普及しているモデルについてはきちんとインピーダンス整合がとれているかについても確認しています。
iPodやiPhoneは電源がしっかりとしているので、どんなヘッドフォンをつないでも比較的安定した再生ができますね。
コンパクトなプレーヤーだと、出力が弱いだけでなく、ヘッドフォンの負荷に対して負けてしまうものもあるので、インピーダンスが低いヘッドフォンを使っている人は注意した方がいいでしょう。
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