Windows 8はシステム要件として、UEFIを“必須”としてはいないが、UEFIで起動するようにインストールすることが可能だ。ただし、現在市場にあるシステムではUEFIを持っていても、過去との互換性のためにBIOSインターフェースを残してあるものも存在する。これは、起動時にどちらで動作するかを切り替えたり、UEFI上でBIOSエミュレーションなどを行なうものだ。
UEFI用とBIOS用で起動プログラムが違うため、インストール時にどちらを使うかが決まる。BIOS、UEFIの両方をサポートするようなシステムでは、BIOS側でUEFIを有効にしておいて、インストールをUEFIから行なう必要がある。方法はパソコンによって違うが、マイクロソフトが2011年の開発者向けイベント「BUILD」で配布したサムスン電子製タブレット「Series 7 Slate」では、DVDドライブやUSBメモリーを接続したときの起動ドライブ指定に、UEFIからの起動が選択肢として表示された。なお、UEFIを使ってWindows 8を起動するときには、パーティションテーブルをGPTにしておかなくてはならない。
Windows 8は起動が速すぎて
起動時のキー入力ができない!?
Windows 8はUEFI上で起動することで、高速な起動を実現する。しかし、これによりいくつか解決しなければならない問題もある。障害時の対応がそのひとつだ。これまではOSが起動できなかったとき、Windows側がある程度の対応をしてくれた。しかし、Windowsが起動してログオンする直前などに、デバイスドライバーの不具合で落ちてしまうような障害には自動対応できず、ユーザーが起動時に「F8」キーなどを使ってセーフモードを起動したり、パソコン固有のキー操作や手段によって、BIOS設定画面を呼び出す必要があった。
またパソコンによっては、ここでシステム回復用の専用ツールを別パーティションから起動するなどの仕組みを提供していることもあった。しかしWindows 8の起動は速いので、トラブル解決の機能を起動させるタイミングがないまま、Windows 8の起動が進行してしまう。ほかにも、これまでのパソコンなら起動時にキーボードが利用できたが、タブレットでは物理的なキーが接続されていない状態も考えられる。
そのためWindows 8では、これまでとトラブル対策の手順を大きく変えている。まず、すでにWindowsが動いている状態では、設定チャーム→PC設定の変更→全般と辿ると、「PCの起動をカスタマイズする」という項目がある。これを使ってWindows 8の起動オプション画面を表示するが、このときWindows 8はいったん再起動する。
起動前や起動後に問題が発生した場合には、Windows 8自体とは別に用意されている「WinRE」(Windows Recovery Environment)が、対策メニューを表示する。Windows自体は、例えば「ログオンスクリーンが真っ白でそれ以上先に進めない」といった状況を把握できないが、ユーザーが同じところで再起動を繰り返すなどの動作から障害の存在を推測して、起動時に起動オプション画面を表示する機能を持つ。
起動オプションでは、起動デバイスの変更や別パーティションのOSの実行などのほかに、トラブルシューティングツールが用意されている。トラブルシューティングでは、「PCのリフレッシュ」(Refresh your PC)、「PCを初期状態に戻す」(Reset your PC)や拡張オプションなどが利用できる。拡張オプションを使えば、復元ポイントを利用する「システムの復元」や、イメージファイルを指定しての回復(いわゆるバックアップとリストア)も可能になる。
なお、拡張オプションには「スタートアップ設定」という起動時オプション設定項目(ブートログ記録やセーフモード起動)がある。ところがWindows 8 Release Previewで試してみたら、スタートアップ設定の操作にはキーボードが必須で、キーボードがなければ先に進めなくなった。直前に確認があることと、スタートアップ設定に入っても電源ボタンは有効なので、それほど重大な問題にはならないが、設定にあたってはキーボードが必要だ。ピュアタブレット端末ではどうなるのだろうか? RTMでどう対応するのかが気になるところではある。

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