BIOSからUEFIへ
Windows 8はファームウェアの変化も求める
タブレット端末的な使い勝手を目指すWindows 8は、電源オフからの起動が高速化されている。しかも通常は完全な電源オフを行なわず、スタンバイになったあとにスリープ(ディスクなどに必要な情報を保存しての電源オフ)するようになった。
Windows 8のシステム要件は既存のパソコンも対象としているので、旧来のBIOSを使うパソコンでも起動する。しかしWindows 8用に新規にロゴを取得して出荷されるパソコンでは、ファームウェアに「UEFI」(Unified EFI)の搭載が求められている。
そもそもBIOSは、Intel 8088プロセッサーを採用したIBM PCで開発されたもので、MS-DOSなどから利用するAPIなどを含むファームウェアだった。BIOSもCPUやハードウェアの進歩に合わせて改良はされてたものの、従来との互換性を保つために多くの制約の中で改良されたため、内部構造はかなり混乱したものになっている。
BIOSはOSの起動に時間がかかる要因にもなっていた。パソコンの起動時にBIOSは、システムの初期化、デバイスの列挙、メモリーサイズの確認、そしてハードウェアテスト(POST)などを行なったのち、x86 CPUのリアルモード(16bit時代の動作モードだ)の起動プログラムを実行する。IBM PCの時代にBIOSの仕組みは、システム構成の自由度、例えばグラフィックスカードやHDDコントローラーを交換できたり、メモリーを増設できるといったメリットをもたらした。
その反面、起動に際して行なわれる処理が多く、デバイスの列挙などは、別途「ACPI」が行なうなど、OSとの処理の切り分けが不完全だった。また、リアルモードしかないCPUの時代に作られたため、リアルモードかつシングルプロセッサーでしか動作しないという欠点を抱えていた。明らかに今の時代にはそぐわない。
UEFIはインテルなどが中心になって開発した、BIOSに代わる新しいファームウェアだ。もともとは「EFI」(Extensible Firmware Interface)と呼ばれていたもので、インテルとHPが共同開発したCPU「Itanium」を搭載するマシンで、BIOSに代わる新しいファームウェアが必要だったから生まれたものだ。Itaniumは最初から64bitシステムであり、IBM PCとはなんの関係もない。そのためBIOSを流用できないどころか、同じものを作る必要すらない。そのために作られたのがEFIだった。
その後EFIは、x86系CPUにも対応すべくUEFIと名称を変え、規格化団体「Unified EFI Forum」が管理することになった。もっとも、事務局などはインテルが運営しているので実質的にはインテルの管理下にあるが、UEFI自体の版権はUEFI Forumが所有している。
UEFIの特徴には、以下のような点がある。まず、最初から大容量HDDや64bit CPUを想定している点。起動が高速で、CPUに依存しないドライバーの開発が可能な点。UEFI用アプリケーションによる機能拡張が可能な点などである。とくにHDDの問題は、これまでBIOSに依存する部分が問題だった。BIOSが起動コードを含んでいる関係で、起動時にはHDDをアクセスする必要があるのだが、このときに大容量HDDに対応していなかったことがこれまでの大容量HDDに対する問題の原因のひとつだった(関連記事)。
最近ではOSの起動プログラムだけでなく、パーティションテーブルさえも、大容量ディスクに対応できなくなってきた。そこで「GUIDパーティションテーブル」(GPT)が導入されたが、このGPTもUEFI用に作られたものだ。

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