7月5日、EMCジャパンはストレージとサーバー、ネットワーク機器などを統合した検証済みインフラストラクチャー「VSPEX」を発表した。発表会では、VSPEXの概要とともにパートナー事業戦略が説明された。
より自由なベンダー選択が可能なVBLOCK?
VSPEXはEMCのストレージやバックアップ製品に、他社が提供するサーバーやネットワーク機器を組み合わせて構成される検証済みのインフラストラクチャー。ブロケードやシスコのスイッチ、ヴイエムウェアやシトリックス、マイクロソフトの仮想化技術、インテルサーバーなどの製品が採用され、パートナーが自社のソリューションに合わせて製品や構成を選択できるのが特徴だ。ヴイエムウェア、シスコ、EMCに決めうちだった「VBLOCK」に比べ、より自由度が高く、価格面でもリーズナブル。検証済みであるため、安価に、迅速に提供できるのが大きな特徴となる。
発表会において、パートナー事業戦略やVSPEXについて説明したEMCジャパン パートナー・コーポレート営業本部長 執行役員 中山泰宏氏は、調査会社のディスクストレージ市場のレポートを挙げながら、今後ハイエンドに比べ、ローエンドが伸びていくという見込みを示した。これに対し、Symmetrixなどのハイエンド系で高い実績を誇っているEMCも、今後4割を超えると伸びていくローエンドの市場を積極的に狙っていく必要があると説明した。「昨年はユニファイドストレージのVNXでミッドレンジに打って出たが、すでに売り上げとしては昨年ハイエンドを抜く規模に成長している」(中山氏)とのこと。
この背景になるのが、パートナーを介したビジネスの拡大だ。ハイエンドストレージをメインに扱っていたEMCは伝統的に直販比率が高かったが、ミッドレンジやローエンドの製品が増えると共に、パートナー経由での販売が増えているとのこと。日本では7割がパートナー経由で、グローバルよりも高い比率だという。2012年度はグローバルでも、直販を全体の1/4に押さえるべく、アカウントを絞っているという。その一方で、パートナービジネスを強化すべく、SMBパートナーの開拓、トレーニング、ファイナンシャルプログラムの整備、電話営業などへの投資を拡大しているとのことだ。
今回発表されたVSPEXもパートナー経由でしか販売しないモデル。当初はVMwareとシトリックスのVDI(それぞれ250/500/1000/2500ユーザー)、VMware(VMwareが50/100/125/250台の仮想マシン)のプライベートクラウド、マイクロソフト(50/100台の仮想マシン)のプライベートクラウドに最適化された14の初期構成が検証済みのリファレンスアーキテクチャーとして用意され、VSPEX認定を受けたパートナーから独占的に提供される。その他、マーケティング資料やブローシャー、ネットワーク経由で利用できる検証環境「VSPEXラボ」、EMC自体のマーケティングプログラムの活用などがパートナーに対して提供されるという。
初出時、中山様のお名前を誤って記載しておりました。お詫びし、訂正させていただきます。本文は訂正済みです。(2012年7月9日)