このページの本文へ

最新ヘッドホンでミュージック・ライフを向上しちゃおう! 第3回

iPhoneやAndroidでも極上の音を!! スマホ用ヘッドホンを試す

2012年07月04日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

オーバーヘッド型と比べても遜色のない音質

K3003iの装着イメージ。一般的なスマホ用ヘッドホンと異なり、リモコン/マイクは右側のコードに取り付けられている

K3003iの装着イメージ。一般的なスマホ用ヘッドホンと異なり、リモコン/マイクは右側のコードに取り付けられている

 さっそく装着してみる。コンパクトなので耳にすっぽりと収まってしまい、邪魔にはならない。金属製ハウジングなので手に持つとやや重いと感じるが、装着してしまえば重さは感じない。

 ちょっと面白かったのは、カナル型としてみると遮音性はあまり優れてはいない点。音を出していなければ、周囲の音もそこそこ聞こえるし、ガヤガヤとした駅のホームなどでは音楽を聴いていても、列車の走行音や構内のアナウンスが耳に入ってくる。

 どちらかというと、通勤や通学で使うというよりは、比較的静かな喫茶店や図書室などの環境で快適に優れた音楽を楽しむような使い方が合っていると思う。このあたりは、AKGの音楽鑑賞に対するスタンスのようなものも感じられる。価格が価格だけに超満員の列車内のような過酷な環境で使うのも勇気がいるが……。

K3003iのハウジング部分。ステンレス削りだしのハウジングは仕上げの良さがよくわかる。シンプルなフォルムながら使いやすさにも配慮した形状になっている

K3003iのハウジング部分。ステンレス削りだしのハウジングは仕上げのよさがよくわかる。シンプルなフォルムながら使いやすさにも配慮した形状になっている

 音はカナル型のそれとはまるで違う。大型のオーバーヘッドタイプ(しかもオープン型)のような開放感のあるのびのびとした鳴り方をする。中で響くような感じがより強い、カナル型のクセがまったくない。

 ちなみにオープン型に近い開放的な鳴り方といっても、音漏れはほとんどないので心配はない。

 ジャズを聴くと、ウッドベースの芯のある鳴りが堂々とし、トランペットのほとばしるような勢いもじつに鮮明に再現してくれる。AKGらしい鮮やかで見晴らしのいいサウンドで、しかもとても上質だ。音の立ち上がりのレスポンスは鋭いのに、耳に刺さるような刺激的な感じはなく、実に自然だ。

 クラシックでも、流れるようなピアノの旋律をなめらかに再現し、右手の細かな動きや響きの余韻もしっかりと出る。適切なステージ感と実体感豊かな音色にうっとりとさせられる。これは、カナル型という範疇を超えて、同価格のオーディオ向きのオーバーヘッド型モデルと比べるべき音だ。

フィルター交換で音色をカスタマイズできる

付属する音色調整用のフィルター。標準タイプのほか、高音増幅タイプと低音増幅タイプの3種類が付属。ハウジングの先端部分にネジ止めする

付属する音色調整用のフィルター。標準タイプのほか、高音増幅タイプと低音増幅タイプの3種類が付属。ハウジングの先端部分にネジ止めする

 本製品には音色を好みでチューニングできるように、3種のメカニカル・チューニング・フィルターも付属する。開口部分の透過性を変えることで音の傾向を変化させるものだ。

 交換はイヤーチップを外して、先端部のフィルターをネジで緩めて取り外す。高域増幅は白、標準がグレー、低音増幅用が黒で色分けされているが、これがブッシュとなっており、フィルターが弛まないようになっている。

 それぞれを試してみたが、いわゆる電気的な低音/高音ブーストとは異なり、はっきりとわかるほど低音/高音が増強されるというわけではない。低音増幅用では、わずかに低音の量感が増し、ウッドベースのボディー感が大きくなる。ダボダボの低音になるわけでもなく、ゆったりがどっしりになる感じだ。

 高音増幅用は、トランペットの輝きが増し、低音がわずかにタイトに感じられる。全体的に解像感が増したと感じる。バランスがいいのは標準タイプだが、細かな情報を聴き取りたい人には、高音増幅用は合うと思う。

 オーディオ機器のヘッドホン出力につないでじっくりと試聴しただけでなく、試しに喫茶店などでも使ってみたが、前述の通り遮音性は少々物足りないと感じたほか、携帯プレーヤーの実力不足と思われる音の品位の差にも気付いた。

 能率は十分に高く音量自体に不満はないが、(音質については悪くはないがいいわけでもない)iPhoneとの組み合わせでは、さらにヘッドフォンアンプを組み合わせたくなる。しかし、それだと通話やリモコン機能が使えなくなるのが悩ましい。iPhoneの音質向上、あるいはiPhoneのリモコン/通話機能に対応したヘッドフォンアンプの登場に期待したいところだ。

 家の中ならともかく、屋外でラフに扱うことも多いカナル型ヘッドホンでこの価格はあり得ないと思う人も多いだろうが、音に関しては絶品で、手にした喜びも価格に釣り合っていると思う。音楽を聴くのは家の外がほとんどで、そこでこそ至上の音がほしいという人ならば、使ってみる価値はある。

カテゴリートップへ

この連載の記事

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中