ISSCCでの発表によれば、1つのPiledriverコア上に、5本の「HCLK Tree」が構成され、1本あたり54の「Clock Driver」と25個のインダクターが装備されるという。下の画像は配線の様子で、第10層(M10)と11層(M11)の配線が、この共振クロックメッシュに利用されていることがわかる。
ここで問題になるのは、コイルに相当するインダクターをどう回路上に集積するかである。先のホワイトペーパーでは1GHzクラスのクロックの場合に必要なインダクタンスは0.75nH~1.25nH※2で、これはおおむね100×100μm2程度に収まるとのことだ。ISSCCの発表ではダイの写真も示されたが、確かにそれほど問題になる大きさには見えない。
※2 コイルの誘導係数の値。単位はH(ヘンリー)
肝心なのは、この方式を採用した効果であるが、クロック信号の供給に必要な電力を最大24%削減できて、3.2GHz~4.4GHzの範囲で問題なく動作すると発表されている。システム全体の消費電力では、共振クロックメッシュを使うことで同一周波数なら5~10%の消費電力削減となり、同一消費電力ならば動作周波数を100MHz引き上げることが可能、とされている。
ISSCCでの発表は共振クロックメッシュに関する話だけで、肝心のPiledriverの性能などは一切公開されていない。これについては、2012年夏の半導体関連イベント「HotChips」あたりの情報を待つしかなさそうだ。
この連載の記事
-
第769回
PC
HDDのコントローラーとI/Fを一体化して爆発的に普及したIDE 消え去ったI/F史 -
第768回
PC
AIアクセラレーター「Gaudi 3」の性能は前世代の2~4倍 インテル CPUロードマップ -
第767回
PC
Lunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能 インテル CPUロードマップ -
第766回
デジタル
Instinct MI300のI/OダイはXCDとCCDのどちらにも搭載できる驚きの構造 AMD GPUロードマップ -
第765回
PC
GB200 Grace Blackwell SuperchipのTDPは1200W NVIDIA GPUロードマップ -
第764回
PC
B100は1ダイあたりの性能がH100を下回るがAI性能はH100の5倍 NVIDIA GPUロードマップ -
第763回
PC
FDD/HDDをつなぐため急速に普及したSASI 消え去ったI/F史 -
第762回
PC
測定器やFDDなどどんな機器も接続できたGPIB 消え去ったI/F史 -
第761回
PC
Intel 14Aの量産は2年遅れの2028年? 半導体生産2位を目指すインテル インテル CPUロードマップ -
第760回
PC
14nmを再構築したIntel 12が2027年に登場すればおもしろいことになりそう インテル CPUロードマップ -
第759回
PC
プリンター接続で業界標準になったセントロニクスI/F 消え去ったI/F史 - この連載の一覧へ