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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第141回

AMDが2013年に投入するPiledriverコアの新技術とは?

2012年03月05日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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 今回は久々に、AMDのロードマップのアップデートをお届けしたい。と言っても、とりあえずCPUに関して言えば、「Llano」(AMD Aシリーズ)が一段落して、次世代の「Trinity」まではまだ時間がある。また「Zambezi」(AMD FXシリーズ)も一通り発売されて、今は多少のラインナップが細々と追加されている状態である。

 そういうわけで、いつものような製品ロードマップの更新ではなく、もう少しAMD製品の大枠について話をしたい。1ヵ月ほど前の2月2日に、AMDは投資家向けのミーティング「Financial Analyst Day」を開催し、2012~2013年における大枠の方向性を示した。また2月20日には、サンフランシスコで開催された半導体関連イベント「ISSCC」(IEEE International Solid-State Circuits Conference)にて、AMDとCyclos Semiconductor社が共同で、次世代CPUコア「Piledriver」に関する技術詳細の一端を公開した。今回はこの2つについて説明しよう。

2013年にはサーバーとメインストリーム向けに
Piledriverコアを投入

 まず最初に大枠のロードマップから。下の画像はサーバー向けのロードマップである。2012年~2013年にかけては、既存のプラットフォームをそのまま引き継いで、CPUコアが「Bulldozer」からPiledriverに切り替わる形で製品展開される。このあたりは連載131回でジョン・フリー氏が述べたとおりに推移している。

AMDのサーバー向けCPUロードマップ。プラットフォームは引き続きSocket G34/C32/AM3+を継承したまま

 ちなみにコア/モジュールの構成だが、コアの数は2012~2013年もまったく変わらないことが見て取れる。プロセスそのものは引き続き、GLOBALFOUNDRIES社の32nm SOIを使うから、ダイサイズを大幅に大きくしない限りコア/モジュールを増やすのは不可能だろう。またGLOBALFOUNDRIESの32nm SOIプロセスの歩留まりは、依然として問題を抱えているようなので、できればダイサイズを減らしたいくらいであろう。そう考えると、コア/モジュール数を変えないのは当然とも言える。

 次の画像はデスクトップ向けである。まずパフォーマンスセグメント向けでは、2013年中にPiledriverコアがAMD FXとして投入されるようだが、これは2013年も継承されることになるようだ。ここは引き続き28nmプロセスで製造される。

デスクトップ向けCPUロードマップ。タブレット/ファンレスはデスクトップの製品ではなく、モバイルの製品になるらしい

 一方のメインストリームセグメントだが、今はLlanoコアが投入されているところに、第2世代のTrinityが採用されることになる。こちらはPiledriverコアに「第2世代のDirectX 11 GPU」を統合するというので、Radeon HD 6900シリーズでデビューした「VLIW4」ベースのGPUが投入されると見られる。

 これが2013年には、「Kaveri」に切り替わる。Kaveriは「Steamroller CPU」に「GCN GPU」、そしてHSA(Heterogeneous System Architecture)のサポートが追加される。Steamrollerとは、AMDによれば「SteamrollerはPiledriverコアアーキテクチャーの革新したものである」ということなので、Piledriverの派生型が搭載されることになる。

 Piledriverそのものではない、というのは恐らく、メモリーコントローラー周りがHSAとの絡みでもう少し進化したものになり、これにあわせてキャッシュ周りに、なんらかの変更を加えたものになるのではないかと考えられる。この世代ではHSAの進歩が進み、CPUとGPUが完全なキャッシュ・コヒーレンシー(キャッシュの一貫性)を持つので、これにあわせての変更が必要になる、と筆者は理解している。このあたりは次回で、もう少し細かく説明したいと思う。ちなみにKaveriのGPUは、Radeon HD 7000シリーズで導入された「GCN」こと「Graphics Core Next」が搭載される。

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