長くICTの世界を歩いてきた筆者は、万年筆に特に詳しいわけでも、多くのコレクションを持っているわけでもない。どこにでもいるただの文房具好きだ。もともと、好奇心の強い性格で、自分で買って確かめないと気が済まないタイプなので、筆記具も頻繁に衝動買いをする。
昨今の筆記具の世界では、ボールペンの市場進出が際立っている。油性インクからスタートし、インクの材料も多岐に渡り、圧倒的な品ぞろえだ。市場を数で席巻したボールペンの次の目的は事務用筆記具の域を超えることだが、外観をいかに高価な装飾で着飾っても、それだけではなかなかかないそうもない。
一方、筆記スタイルが優雅で、伝統があり、根強いファンのいる万年筆は、昨今、安くてデザイン豊富、合理的で無駄のないボールペンに市場を奪われ続けている。万年筆の良い点でもあり悪い点でもあるのは、文字や絵を描く前後に時間的な余裕が必要なことだ。しかし、忙し過ぎる現代なら、キャップをゆったりと外すことや、時々インクを充填すること、筆記後インクが乾くまで多少待つことは悪くない習慣だ。
一般的に、筆記商品として万年筆のウィークポイントは、趣味性が強くお作法がうるさそうでハードルが高く感じること、価格が高いこと、しばらく(1~4ヵ月)使わないとインクがほとんど乾燥して筆記できなくなることなどだ。
ところが、100年近くの伝統を持つプラチナ万年筆が、ここ数年でこのすべてを同時に解決した。ボールペン並みのウルトラ低価格の尖兵として最初に登場したのは、同社の「プレピー」で、1本210円。そして、その上位機種として登場した「プレジール」は1000円。いずれも「スナップ式」と呼ばれるキャップの密閉機構で、半年近く使わずに放置していてもインクは乾燥しない。
「戦略的衝動買い」とは?
そもそも「衝動買い」という行動に「戦略」があるとは思えないが、多くの場合、人は衝動買いの理由を後付けで探す必要性に迫られることも多い。
それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある。このコラムでは、筆者が思わず買ってしまったピンからキリまでの商品を読者の方々にご紹介し、読者の早まった行動を抑制したり、時には火に油を注ぐ結果になれば幸いである(連載目次はこちら)。
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