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大河原克行が斬る「日本のIT業界」 第28回

ハードとソリューション。クラウド時代を見据えた戦略

Macの修理を支える、老舗保守ベンダーが持つ“2つの強み”

2011年12月01日 09時00分更新

文● 大河原 克行

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ふたこぶらくだの事業構造

 代表取締役社長の武井均氏は、同社の事業構造を「ふたこぶらくだ」と表現し、この2つの「こぶ」の強化を重点課題に掲げる。

 ひとつめのこぶはメーカー保守サービスの拡大だ。

 アップルをはじめ、各社から受託するサービスは、同社の創業時からの重要な事業の柱であり、この15年間において、取扱量は2.7倍にも拡大している。これを効率的に運用するため、同社では、2003年から全国からのコールを一元化するとともに、部品を一元的に手配する仕組みを構築。当初は埼玉県大宮の拠点で試験的に行なっていたものを、2008年から全国規模での一元化を実施。

 毎月5000件のコールに対して、ハード、ソフト、ネットワークなど、製品ごとに切り分けて個別に対応。そこから、全国のサービス拠点にオンサイトサポートを依頼する「ダイレクトディスパッチ」も可能になっている。

 さらにグルーピング拠点という考え方を導入し、翌日の修理件数の増減にあわせて、修理担当者の拠点への人員配置を柔軟に変更する仕組みを導入。すでに関東圏での運用を開始しているという。

クラウド事業にも積極的に

 もうひとつのこぶが、ネットワーク総合サービスおよびソリューションサービスの強化だ。

 ここでは、「CEのSE化」という言葉で取り組みを表現する。

 ハードウェア技術やソフトウェア技術、そしてネットワーク技術に精通した技術者の育成とともに、仮想化技術に知識を持った人材を育成。これにより、ユーザー企業へのソリューション提案を行ないやすい環境を作っている。

 しかも、ひとりのCEが複数のスキルを持つ「多重人格化」(武井社長)させることで、より高度なシステム提案を可能にするほか、障害時にもハードとソフト、ネットワークの適切な切り分けを可能とする体制構築を目指す。

 「ワンストップサービスを一歩進めたワンヒューマンサービスを実現する。ワンヒューマンサービスとは、いわば、近場にいる主治医の存在と同じ。そこに行けば、自分の健康管理をすべて行なってくれる。ウチダエスコはそうした存在を目指したい」とする。

 複数の資格を取得したゼネラリストを管理するマイスター制度も開始し、戦略的に複数資格の取得者を増やしていく考えだ。

 同社によると、今年7月時点でのメーカー資格取得者は1126人、ベンダー資格取得者は429人、国家・公的資格の取得者は382人。合計で延べ1937人の資格取得者を持つ。

 「クラウド時代になれば、ワンヒューマンサービスの体制はますます重視される。延べ2000人規模の資格取得者を有した体制を実現したが、今後は仮想化技術の資格取得者の拡大に取り組む」と武井社長は語る。

 VMWareに関しては、来年度にはVSPで128人、VTSPで220人、VCPで52人の資格取得者を目指し、Hyper-V導入コーディネーターでは21人、Redhat EVでは8人の資格取得者をそれぞれ養成する計画だ。

 仮想化技術者の育成に向けては、エスコラボラトリーを設置。社員の資格取得を支援していくことになる。

 「2015年には、企業におけるクラウド利用が広がるだけでなく、行政や教育分野でも広くクラウドが活用されることになるだろう。また、2020年には1人1台環境でスマート端末を利用する世界が到来することになり、サービスの仕方も大きく変化するだろう。こうした環境に向けた準備をいまから進めていく必要がある」とする。

 ここでは、今年10月からサポートを開始したiPhoneなどのスマート端末の取り扱い実績も大きな武器になってくるだろう。

 クラウド時代の本格到来に向けた準備を着々と進めている様子が伺いしれる。

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