
本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
iPhone 4Sの位置情報機能は「GLONASS」に対応
iPhone 4Sは、その「さりげなさ」が魅力だ。大々的にアピールされた「Siri」と、高画素化され1080pビデオの撮影も可能になったカメラ機能は別格としても、デュアルコアの「A5」採用によるパフォーマンス向上や、AirPlayミラーリングが可能になるなど、そういえば……という改良点が多い。
あまりメディアでは取りあげられていないようだが、位置情報機能も強化されている。iPhoneに搭載のGPSは、測位のために基地局などとネットワークで通信するAssisted GPS(A-GPS)だが、iPhone 4Sではさらに「GLONASS」(GLObalnaya NAvigazionnaya Sputnikovaya Sistema、英訳は「Global Navigation Satellite System」)に対応した。簡単にいえば、さらに測位能力がアップしているのだ。
GLONASSは、ロシアの人工衛星を利用する測位システム。ソ連時代の1976年に軍事目的で開発がスタート、1996年までに計24基の人工衛星を打ち上げた。その後のロシア経済の混乱により、数年ほど放置に近い状態だったが、今ではシステムが回復し、2011年現在は計28基が運用されている。
ロシアは2007年、GLONASSシステムの民間用測位信号を開放し、ロシアのみならず外国人にも無料/無制限での利用を認めた。GLONASSは北半球の測位に適した軌道上にあるため、日本人にとっても利用価値が高い。iPhone 4Sは、その信号を位置情報の測定に活用できるのだ。
GPS衛星は、地球上のどこにいても常に4基以上の衛星を補足できるよう、6つの軌道上に31基が配備されている。そこに23基のGLONASS衛星(11月23日現在、運用中の衛星数としては30基)が加わるのだから、iPhone 4Sの測位機能のほうがiPhone 4より高精度、という仮説が成り立つわけだ。

この連載の記事
-
第187回
iPhone
NFCの世界を一変させる!? iOS 11「Core NFC」の提供開始が意味するもの -
第186回
iPhone
Appleと「4K HDR」 - iOS 11で写真/動画を変える「HEIF」と「HEVC」 -
第185回
iPhone
iPhone 7搭載の「A10 Fusion」「W1」は何を変えるか -
第184回
iPhone
オープンソース化された「PowerShell」をMacで使う -
第183回
iPhone
アップル製デバイス連携の鍵、「Continuity」とは? -
第182回
iPhone
DCI-P3準拠へと歩むiPhone/iPad - WWDC基調講演で秘められた新技術は、ここにある(2) -
第181回
iPhone
WWDC基調講演で秘められた新技術は、ここにある(1) -
第180回
iPhone
WWDC直前、買い替え前にマイMacのココをチェック -
第179回
iPhone
私がiTunesを使わなくなった5つの理由 -
第178回
iPhone
今あえてiPhone「Live Photos」を知る -
第177回
iPhone
「Windows Subsystem for Linux」はOS Xのライバルとなるか? - この連載の一覧へ