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古田雄介の“顔の見えるインターネット”第99回

マスコミが報じない“カルト”を記事に 「やや日刊カルト新聞」

2011年10月07日 12時00分更新

文● 古田雄介(@yskfuruta

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ネタ記事にすることで、カルトの予防効果を高めている

―― まずは藤倉さんのバックグラウンドを教えてください。カルト周辺に関心を持ったのは、学生時代に所属していたサークル内で自己啓発セミナーが流行ったことがきっかけだったそうですね。それが1997年頃。

藤倉 そうですね。気づいたら、サークルがセミナー受講生と反対派に割れて、反対派が受講生を必要以上に排斥するような雰囲気になっていたんですよ。確かにセミナー受講生側は気持ち悪いことを言っているんですけど、反対派も感情で相手を全否定しすぎていたので、僕はどちらの仲間にも入らずに傍観していました。嫌いなものがあったら問答無用でシャットダウンするって考えは、ちょっと不健全じゃないですか。そうじゃなくて、好き嫌いの問題と実際に問題がある部分とを区別して分析するほうが楽しいし、有意義だと思ったんですよね。それで自己啓発セミナーの実態を調べていくうちに、カルト宗教も対象に加えて、現在みたいなスタンスになったわけです。

藤倉善郎氏は現在、夕刊紙・週刊誌などで活動するフリーライター。北海道での大学生活はサークル活動が中心だったという。休学してストリートミュージシャンを2年続けた後、中退して上京。マスコミ系の企業を経て、ライターへの道を進んだ

―― 世に何かを訴えかけるみたいな活動には、その前から興味を持っていたんですか?

藤倉 昔から、何かアウトプットしたいという欲はわりと強いほうでしたね。当時もそのサークルだけでなく、学内新聞を作るサークルを掛け持ちしていたんですよ。だから、自己啓発セミナー問題が起きたときも、すぐ特集記事を組もうと考えましたね。すごく身近なところに特ダネが転がっていたようなもんです(笑)。

 そういう知的好奇心みたいなものとアウトプット欲、あとはおこがましいながらも、「自己啓発系で困っている人の助けになれたら」という気持ち。それらが原動力になったんだと思います。最初は単発の特集記事のつもりだったのに、それから2年間連載するくらいでしたから、当時からけっこうハマっていた気がしますね。

「自己啓発セミナー対策ガイド」の運営者プロフィールで、自己啓発セミナーウォッチをはじめたいきさつを詳しく説明している。学生時代の経験から「セミナーも反セミナーもどっちもどっちだと思いながら」、傍観的な視点でカルト問題を調べるようになったという

―― その活動をもとにネットでも発信するように。

藤倉 いえ、学内新聞から若干遅れて、個人サイトも立ち上げているので、同時進行に近い形ですね。ネットでは、在学中に院生と共同運営したサイト「自己啓発セミナーと精神世界」を前身として、大学中退後に「自己啓発セミナー対策ガイド」を一人で運営するようになりました。その後の2007年頃に宗教ネタも盛り込んだブログをはじめて、2009年に「やや日刊カルト新聞」をスタートさせたという感じですね。

 一応、現在もコミケなどで紙のカルト新聞も発行していまして、紙媒体とネットという二本柱は存続しています。僕のこだわりみたいなものなんですよ。


―― 紙版のカルト新聞も読ませていただきましたが、ネット版と同じかそれ以上に皮肉や風刺が盛り込まれていますね。初期のサイトの頃はわりと硬めにカルト問題を論じていたと思いますが、この変化の意図は?

藤倉 この手の情報を数年扱って実感したんですが、真面目にカルトを論じても、読みに来るのは被害者やその周辺の人だけなんですよ。でも予防という意味では、カルトと何ら接点のない人にこそ読んでもらいたいわけです。そういうふうに考えていくうちに、ニュースサイト的な体裁にして、カルト団体を茶化したり、面白おかしく論じたりして、読者層を広げていくように意識するようになりました。

 別にカルトにハマるのは個人の勝手だと思うんですけど、「そんなつもりじゃないのに騙されて入会しちゃった」みたいな人は可哀想じゃないですか。事前に手口や関連団体を何となくでも色々知っていれば、そういう悲劇はずっと少なくなるはずです。そういう予防線としては、弁護士や被害者団体が作る真面目な注意喚起サイトだけではなく、サブカル的なにおいのするネタ記事が果たす役割も絶大だと思うんですよ。

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