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NEC×Lenovo合弁の責任者に聞く

レノボ、年内にも世界シェア2位におどり出る可能性

2011年09月27日 09時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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スケールのないITに成功はない

 先のHPの報道(関連記事)で衝撃的だったのは、(それが現実かどうかはともかく)圧倒的なシェア1位を誇る業界の巨人ですらやっていけないほど「PC業界は厳しい」という印象を与えた点にあるだろう。

 こういった業界の空気の中、シェア拡大に旺盛な意欲を示すのがレノボだ。個人/ビジネス、先進国/新興国など市場を問わずシェア拡大を進めている同社。直近の四半期では利益も8%増加しているという。なぜシェアにこだわるのか。

留目 「スケールの大きさはITの分野で極めて重要な要素です。そのためにグローバルを目指すのは必然で、かつ“本当の強み”を持たなければならない」

 本当の強みとは何か? 留目氏は世の中が変わっていく潮流をとらえながら、何が付加価値として重要になるのを見極め、柔軟にそれに取り組める会社作りだという。

 そして「ハードはダメなのではないか」「ソフトやソリューションに移行すべきだ」という業界の風潮に対して異を唱える。

留目 「ハードのビジネスにはうまみがないとか、製造業はもうダメだという一般論で片付けてしまってはいけないと考えています。重要なのは、スケールさせなければならないITというビジネスで、“スケールしても生き残れる強み”を持ち続けられるかどうかです。ハードのビジネスでもそれは同じで、本当にキーとなる強みを見つけられれば、面白いことをやり続けられる。それができないなら、どの分野をやっても同じことでしょう」

 昨今の価格下落を見ても分かるように、PCのマーケットでは品質を落とさず、コストをいかに下げていくかという難しいテーマに取り組んでいかなければならない。非常に難しい課題だが、そのためにはスケールを確保し、規模と出荷台数をしっかりと伸ばしていくことが重要だ。

留目 「この市場で勝つための条件が複雑になっているのは確かです。しかし、適切に変化していける企業であればまだまだPCの出荷台数は伸ばせる。チャンスはあるし面白い事業だと思います」

 昨今では先進国だけでなく新興国のマーケットが拡大。その一方でタブレットなど新しいデバイスも登場している。業界構造も変化しており、それに対して適切な対応をしていくことが求められる。


それでは日本企業はどうなのだろうか?

 グローバル規模での戦いという話題の中で、筆者の頭に浮かんだのは、国内のPCメーカーはどうかという点である。かつて日本の電機メーカーは、町工場から世界を目指した。そしてグローバルで通用する世界的なブランドが、いくつも生まれた。

 しかし現在に目を向けると、高い技術力を誇らしげに語る一方で、限定された国内市場のパイを奪い合い、結果的にはニッチの総和が製品ラインアップを形成するといった状況も生じている。誰のための高機能・高付加価値なのかと首をかしげてしまうこともある。

留目 「日本のマーケットは大きいが、そこしか見ていないと、そこにしか通用しないものができてしまいます。より重要なのは、グローバルの仕組みと日本の強みを上手く合わせていくことでしょう。日本の技術を世界で輝かせるためにグローバルのビジネスを見て考え、組み立てて行くことです」

 多国籍のカルチャーはレノボの特徴だと留目氏は語ったが、フラットな土俵を与えられても、その中で本当の強みを見せられなければ意味はない。日本企業も自らの強みを改めて知り、それを広い市場に問う姿勢が問われているのではないだろうか。

留目 「(大和事業所の発言力があるのは)グローバルの中でも日本が明らかに強いと分かっているからです。それはNECも同じです。社内にそういう目があることが重要だと思っています。日本人にもフェアな土俵を与えてもらっているが、それだけではダメ。何が自分たちの強みかをしっかりと伝え、取り込んでもらわなければならない」

 「グローバルで勝利するために必要な条件は」という問いに留目氏は「何を実直にやっていくか、というだけ」と極めてシンプルに答えた。

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