
本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
iBooksの辞書機能
iOSユーザー向けに無償提供されている「iBooks」は、EPUBとPDFという2種類のフォーマットに対応した電子ブックリーダーだ。
EPUBとPDFは、フォーマットがまったく異なるため、それぞれ別の描画フレームワークを使用していると推定される。OS XにおけるEPUBビューア/PDFビューアの実装例からすれば、XHTML+CSSをベースとしているEPUBは「WebKit」、PDFはOS XのAppKit相当の機能を備える「UIkit」だ。
だから、EPUBとPDFではサムネイルの有無など表示スタイルも異なるし、操作性にも違いが出てきてしまう。強いていえば、iBooksは2つのビューア機能が1つに集約されたようなアプリなのだ。
iBooksでは、それを意識させないようインターフェースの共通化に務めている。
たとえば検索の手順は、EPUBとPDFのどちらでも同様で、虫メガネボタンをクリックしてキーワード検索を開始すると、最初にヒットしたページに遷移し、そのキーワードをハイライト表示する。もう一度虫メガネボタンをクリックすれば、以降のヒットした位置がリストアップされるので、それをタップして目的のページへ移動する、という検索機能の使い方は、どちらでもほぼ同じだ。
しかし実は、検索機能に関しては「辞書との連携」という決定的な違いがある。EPUB表示時は、ハイライト表示されたキーワードをタップすると、その近くにメニューバーが現われる。次に「辞書」をタップすると、iOSに組み込みの辞書機能で検索が実行される。PDF表示時には利用できない機能だ。
ちなみに、この辞書連携機能はなかなか奥が深く、使用する言語に応じて数種類の辞書が呼び出される。日本語環境の場合、英文では英英辞書(New Oxford American Dictionary)、和文では日本語辞書(小学館プログレッシブ英和・和英辞書)だ。
ユーザーが辞書を選ぶことはできないが、EPUBを作成する環境があれば、呼び出す辞書の種類を定めたEPUBを用意できる。電子ブックリーダー本来の機能とはかけ離れた使い方になってしまうが、「俺流辞書」の作成すら可能なのだ。

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