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クルマの、そしてレースの未来が垣間見えた!

乾電池で鈴鹿を走る! Ene-1 GP SUZUKAレポート

2011年08月30日 17時00分更新

文● 中村信博 ●写真/うえのふみお

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自動車レースの未来が見えたイベントだった

 今回の大会では、電気自動車の性能を競う「EVパフォーマンスチャレンジ」も同時開催されていた。出場できるのは市販されている電気自動車ではなく、一般ガソリン自動車を電気自動車にコンバートしたマシンのみ。こちらはホームストレートでの「0-200mタイムアタック」と、S字区間を使った「ヒルクライム」、それに鈴鹿フルコースを使った「60分耐久レース」の3種目で、その性能を競っていた。

全日本ラリー選手権JN-2クラスに参戦している丹羽和彦選手がドライバーを務めた、繁原EVプロジェクトの「ウェルマー☆EVミラ」。前半3種目ではパッとしない成績だったが、耐久レースではなんとガソリン車両であるヴィッツレースの平均タイムを上回るラップタイムを刻み、ブッチギリの優勝!

「ウェルマー☆EVミラ」に搭載されていたのが、EV用の2速減速機。構造的にはミッションが不要といわれる電気自動車だが、バッテリーの電力を効率よく使うためにこの2速減速機を装備。そのため耐久レース後半でも安定した出力が得られたのだ

その他のマシンも紹介していこう。まずは大阪産業大学EVプロジェクトが製作した、カリーナ改造の「Spirit of OSU」。今回のEVパフォーマンスチャレンジでは3種目で好成績を出して総合優勝を飾った。上面のソーラーパネルはエアコンなどの走行に関係のない部分の作動用だ

ミツオカのヒミコを改造したteam TGMYの「EV Himiko」。見た目にいちばんのインパクトを持ったマシンだった

JAF公認競技としては初のEVジムカーナチャンピオンを輩出した、ZEVEX Racing Teamの「EVミゼットII」

なんとあの名車ヨタハチを改造した、トヨタ東京自動車大の「TOYOTA Sports EV TWIN」

愛媛の電装屋さんがベースのチームIWAKIが走らせる「DREAM 7」は、四国第1号のコンバートEV

ハイブリッド車のインサイトをEVへと改造したこのマシンは、がれーじTOMが走らせるからホンダ車にもかかわらず名前が「TOM'S INSIGHT」。場内放送でも何度もツッコまれていた(笑)

よくぞここまで、というくらい車体に手が加えられた、中日本自動車短大の「エレクトリックハイゼット」

競技用モーターのメーカーとしてその筋では知られたミツバは、KV-40とEVパフォーマンスチャレンジの両方にマシンを送り込んできた

オープンクラスに出場した静岡理工科大学の「SFP EV」は、学生フォーミュラにも参戦している

今回は展示のみだったが、初参戦ながら今年のマン島TTレース(MANX TT)でTT ZEROクラス5位入賞を果たした電動バイク「プロッツァTT零-11」。最高時速220km/hを数えるマシンだ

 モータースポーツの聖地・鈴鹿サーキットに、この日新たな“歴史”が幕を開けた。日進月歩で進化し続けるEVは、近い将来、必ず現行の内燃エンジン車両を上回る性能を実現することになるはずだ。今回のイベントでは、その未来をはっきりと予感させる姿を随所で垣間見ることができた。

 記念すべき第1回目は静かなスタートとなった「Ene-1 GP SUZUKA」だが、これからも年々盛り上がりを見せてくれることだろう。

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