2011年7月1日から、東京電力、東北電力管内で電力使用制限令が発令された。
契約電力が500kW以上の大口需要家は、平日午前9時~午後8時までの電力ピーク時の電力使用量を、前年比15%減にすることが定められ、これに違反した場合には100万円の罰金が科せられることになる。
東京電力管内では9月22日まで、東北電力管内が9月9日までという中期的な制限令となるが、大手企業においては、「制限令解除以降もこの水準で節電に取り組みたいと考えている」といった声や、「15%を目標にするのではなく、社内的には25%の節電を目標としている」といった動きがみられるなど、厳しい姿勢でこれに取り組む企業が相次いでいる。
大企業の工場・オフィスは、省エネ化が加速
パナソニックでは、7月1日付けで節電本部を新設。工場およびオフィスにおいては、自家発電の新規導入、診断チームによる震災対応の省エネ診断の実施と即日提案、PC省エネ設定プログラムの全社一斉自動配信などの取り組みによって、東京電力および東北電力管内において15%削減を目標とする一方、同本部を2013年3月まで継続させ、今後予想される恒常的な電力不足に対応する考えだ。
ピークシフトを考慮した勤務体系では、パナソニック電工新潟工場において、午前8時50分の始業時間を午前4時35分始業あるいは午後4時始業にシフトすることも実施している。
また、日立製作所で東京電力および東北電力に置ける生産拠点での輪番停電の実施による土日出社を開始しているほか、白物家電を生産するの多賀事業所では、節電目標を25%とし、この必達に向けて、日中でも随時エアコンの使用を停止するといった活動を開始している。
富士通では、東日本大震災の発生以降、オフィスの空調停止や、トイレや廊下、窓側の照明を消灯するなどの対策に加え、エレベータの間引き運転、エスカレータの停止などによって、震災前に比べて約20%の節電を達成したという。
また、日本IBMでも箱崎本社で取り組んできた節電の取り組みをさらに加速。これまでのフロアごとに実施していた消費電力の見える化による細かな指標管理による節電対策の浸透に加えて、各フロアの4分の1を完全に閉鎖して、照明や空調による電力削減に取り組むといった動きがみられている。
さらに、NECでは、8月の夏期休暇期間の一斉休暇に加えて、9月にも一斉休暇日を設けるなど、本社ビル全館の照明、空調を止めることで節電を図る考えだ。
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