専用拡張カードでデュアルOSを実現!?
新手のソリューション「PunkThis」
第3の方法が、Windowsを実行するx86とAndroidを実行するARMプロセッサーの、両CPUを搭載するマシンを作ることだ。
この方式を採用したシステム「PunkThis」を、ノルウェーのCUPP Computing(以下CUPP)が出展していた。本来CUPPは、PCチップセットのサウスブリッジ内に、ARMプロセッサーを組み込む技術を開発していたようだ。ARMアーキテクチャーは設計をライセンスできるため、独自のデバイス内に埋め込むことも可能だからだ。
CUPPの構想としては、ARMプロセッサーをサウスブリッジに内蔵させて、パソコン側の周辺機器を共有してメインCPUに代わって動作させることで、消費電力を低減させることを考えていたようだ。ただしこの方式ではPCベンダーが専用のハードウェアを開発せねばならず、採用メーカーが現われない限り、実現の可能性がない。そこでCUPPでは、PunkThisという小型のカードを開発した。
PunkThisは2.5インチのSATA HDDと同じサイズで、HDDの代わりとしてパソコンに装着する。さらに、キーボードとディスプレーの配線基板もこちらに接続して、マザーボードとキーボード、ディスプレーの間にこの基板が入るように配線する。基板上には、同社の開発したデバイスとARMプロセッサー(テキサス・インスツルメンツの「OMAP DM2730」1GHz)やメモリー、そしてサブ基板としてSSDを接続できる。
キーボードは入力に使うのはもちろんだが、WindowsとAndroidの切り替えにも使う。画面出力を切り替える構造なので、両方が起動しているなら、切り替えは瞬時だ。
さすがに後付けのハードウェアだと、コネクターの関係で使えるハードウェアは限定されるし、簡単に装着できるものでない。しかし、ARMプロセッサーで動作させている間は、Windows側を完全にスリープ状態にできる。そのためAndroidだけを使っていれば、低消費電力というARMプロセッサーのメリットが生きるので、同じバッテリー容量でもWindowsで使うより長時間動作できる。必要なときのみWindowsを使うようにして、持ち歩いている間はAndroid側で「Google Maps」や「Gmail」といったサービスを使えば、より長時間駆動できるというわけだ。
COMPUTEXの会場では、「MacBook Pro」とASUSTeK Computer「1015PN」というネットブックに、PunkThisを組み込んだデモ機を展示していた。デモを見てみると確かに切り替えは高速で、どちらもエミュレーションではないフルの環境が動作している。PunkThisの基板には、Android側で使うSDカードスロットやUSBポートも用意されている。価格としては200ドル(約1万6000円)ぐらいを考えているそうだが、現時点では取り扱い業者と交渉中とのことだ。
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デュアルOSにもいろいろな方式があるが、Windowsの次期バージョン「Windows 8」でARMプロセッサーがサポートされると、実はもっとも広がる可能性があるのは、仮想化技術を利用したものだ。
次世代ARMプロセッサーの「Cortex-A15」は仮想化支援機能を搭載しており、WindowsがARMに対応した仮想化支援機能を搭載するなら、これを使ってAndroidも動かせる可能性がある。しかも今度は同じARMプロセッサーなので、消費電力はWindowsでもそれほど変わらないと想定されるし、瞬時に切り替えできて、並行して利用できるメリットもある。
また、WindowsがARMの仮想化機能をサポートしなくても、仮想化ソフトウェアはほかにもあ。逆にWindowsをARMプロセッサーの仮想化環境で動かす、なんて製品もあり得るかもしれない。
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