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大河原克行が斬る「日本のIT業界」 第21回

電機大手各社の決算や調査会社の資料から動向をみる

震災はIT市場にどんな影響を及ぼしたのか

2011年05月11日 09時00分更新

文● 大河原克行

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 東日本大震災の影響は、IT業界や電機業界にも大きな影響を及ぼしていることが、調査会社の発表や、企業の決算発表から明らかになりはじめた。

エコポイントによる駆け込み需要、盛り上がらず……

 パナソニックによると、「2010年度連結決算における東日本大震災の影響は、売上高で700億円、営業利益で210億円、税引前利益で302億円、当期純利益で190億円」とした。この影響を差し引けば、営業利益と当期純利益は、10月公表値を上回る結果だったと説明した。

 とくに影響が大きいのがデジタル家電事業だ。

 同社で薄型テレビ事業などを担当するAVC社では、震災の影響として売上高で300億円、営業利益で100億円と試算。いずれも全社影響額の約半分を占める。

 薄型テレビの年間販売台数は前年比28%増の2035万台となったが、年間計画の2100万台には到達しない水準。「第4四半期はテレビ事業の黒字転換を目指したが、東日本大震災の影響が大きく、またエコポイント制度終了前の駆け込み需要が盛り上がらずに、期待していたほどの数字にならなかった。結果として、第4四半期および通期とも、テレビ事業は赤字」(パナソニック・上野山実常務取締役)とした。

 さらに、「直接被災したデジタルカメラなどの販売減、サプライチェーンにおける部品調達の遅れによる影響、自動車メーカーなどの生産停止により、BtoBビジネスにおける部品供給の遅れなどが出てくる」と、今後の影響を懸念する。

先行きに関して合理的な判断は難しい

 シャープでは、大幅な増収増益の決算となったものの、東日本大震災の発生以降の急激な売上げ減少もあり、2010年10月の公表値を、売上高で780億円減、営業利益で111億円減と大きく下回る結果になった。さらに、

 「企業活動に与える東日本大震災の影響は広範囲であり、予想が難しい。業績に与える影響額を現段階で合理的に見積もることが困難である」として、2011年度の業績見通しについては公表しなかった。

 シャープの片山幹雄社長は、「当社における甚大な被害はなかったが、各種生産活動に必要な半導体や素材、薬品などのサプライチェーン、電力やガスなどのインフラが大きな影響を受けている。6~7月も見通せる状態にはなく、当面は国内消費の大幅な落ち込みが想定される」とした。  東芝では、東日本大震災によって、売上高で約700億円、営業利益では200億円の影響があったと試算した。

 さらに、2011年度には、震災の影響では売上高で3000億円、営業利益で700億円の影響があり、すべての事業に影響があると分析した。

 しかし、「被災拠点の立ち上げや、部材調達状況の回復、サプライチェーンの復旧、さらには電力不足の解消などといった動きがみられることに加え、今後は復興需要および新興国市場での事業拡大などが見込まれる。震災の影響は、売上高、営業利益ともにすべてカバーでき、影響はゼロにできるとみている。2011年度は、すべての主要セグメントでの増収増益を目指す」(東芝・村岡富美雄代表執行役副社長)としている。

年度末に集中する公共分野の商談が先に延びる

 富士通では、2011年1月に業績の下方修正を行ったが、震災の影響でさらにそれを下回る結果となった。

 売上高では415億円、営業利益では124億円の影響があったとし、「震災前までは修正下計画通りに推移してきたが、生産供給面での影響、商談の延伸といった動きが影響した」(富士通・山本正己社長)とする。

 とくに、テクノロジーソリューション事業部門では、売上高で356億円の影響があったという。

 富士通の場合、3月に商談が集中する傾向があるが、とくに公共系の商談が延伸したことが大きく影響している。

 山本社長は、「富士通の生産能力は回復してきたが、部材調達の面や電力不足といった、不確定要素があるため、2011年度の業績見通しを算出しにくい」と、現時点での業績見通しの発表を見送っている。

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