PC市場はビジネス分野でインパクト
調査会社の調べでも、震災の影響が明らかになっている。
IT専門調査会社のIDCジャパンによると、2011年の国内IT市場は、東日本大震災の影響を受けて、前年比4.5%減の12兆165億円と予測。2011年2月の震災前に発表した前年比0.6%増の12兆6172億円の微増から、マイナス成長になると修正した。震災の影響で6000億円程度、市場が縮小するという見通しだ。
ハードウェアでは、前年比1.4%減の予想から5.7%減とマイナス幅を拡大。パッケージソフトウェア市場は2.9%増から7.9%減に、ITサービス市場では1.8%増から1.8%減として、いずれもマイナス成長の予測とした。
PC市場について同社では、震災の影響を受けて、前年比9.2%減の1432万台になると予測。震災の影響で国内PC市場は69万台の出荷減になるとみている。とくにビジネス市場においては影響が大きく、前年比11.4%減の744万台に留まるとした。
電力供給や風評被害という不安要素も
電機およびIT市場を俯瞰すると、やはり厳しい見通しは避けられない。
企業の間などでは復興を最優先にする意識が強いことから、IT投資の削減傾向は否めないとの見方が支配的。さらに、企業や消費者の自粛心理の長期化が進めば、設備投資や個人消費の減退は避けられないだろう。
また、東日本エリアにおける電力不足は、生産拠点における生産再開への足かせになる可能性のほか、サプライチェーンが寸断されたことでの一部の部品や素材の供給が停滞も指摘されている。実際、部品の調達の遅れとしては、スマートフォン向けの高精細パネルなどの供給不足や、光学式ドライブの品薄などが具体的な懸念材料としてあがっている。
また、輸出製品に関しては放射線チェックといった要請もあり、メーカーは余計な作業工数と事情説明にも対応しなくてはならないという状況に陥ることになろう。
風評被害は早期に払拭させ、正常な商取引の体制に戻す必要がある。
しかし、希望がないわけではない
だが、2011年10月以降は、復興需要の本格化によって、景気が回復軌道に乗ることを期待する声もある。
リスク管理強化の動きが加速するとともに、スマートグリッド、エネルギー管理システムなどの導入などにより、IT支出が回復するとの予測があるほか、個人消費に関しても、LED照明や太陽光発電システムといった節電対策製品の需要増とあわせて、家庭用蓄電池といった新たな需要の増加に期待する声もある。
また、電機業界では、2011年7月24日のアナログ停波による薄型テレビの駆け込み需要が見込まれること、2010年度末のエコポイント需要が限定的となり、業界の当初見通しよりも100万台程度減少となったことで、これが2011年度に持ち越し需要として見込まれること、被災地である東北3県の地デジ完全移行が先送りになったことでの需要分散による品不足を背景にした機会損失の回避、今年後半以降に想定される被災地の復興需要の牽引役としてのテレビの需要拡大が見込まれるといった要素もある。
こうしたプラス要因をいかに成長ドライバーへと転換できるかが、業界にとっての注目点となる。
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