バッテリー駆動時間はとにかく長い!
ソフトの完成度が「安心感」を産む
発熱とバッテリー駆動時間もチェックしていこう。まず発熱だが、Core i5を搭載しているので、フルパワーで動作するとそれなりに熱は出る。だが本体後部の放熱口を触らなければ、不快な熱を感じることはあまりない印象だ。
そもそもこれはX220に限らず、今時のCore i5以上を採用した製品の特徴でもあるが、「フルパワー」状態にはなかなかならない。だから発熱の問題を大きく考える必要はない。特にX220の場合、ボディーが樹脂系であることもあって手の平などには熱が伝わりにくく、操作感は快適だ。
バッテリー駆動時間も「立派」の一言である。試用した4290-RW4は6セルのバッテリーが搭載されているが、カタログ値で最大8.9時間、恒例の「BBench」による実測では、5時間20分弱から6時間20分というところだから、満足できる値だ。
BBenchによるバッテリー駆動時間テスト | |
---|---|
フルパワー設定 | 省電力設定 |
約5時間16分 | 約6時間20分 |
オプションの9セルバッテリー(カタログ値15時間動作)ならば、計算上は通信をしながらでも、10時間程度動作することになる。さらに外付けバッテリーパックを併用すれば、カタログ値で最大23時間もの動作が可能となる。
ここでポイントとなるのが、ThinkPad付属の「省電力ユーティリティ」の分かりやすさと優秀さだ。ThinkPad共通のツールでX220独自のものではないが、消費電力と性能の変化が一目で理解できて、多くの人にとって使いやすい。なにかと話題のピークシフト機能も搭載している。使い始めてしまえばあまりいじることのない部分ではあるが、やはり安心感につながる部分である。
ThinkPadの価値は「ソフトにある」と言われることは少なくないが、X220に触れるとそのことを強く感じる。実に細かい工夫がなされているのだ。「Caps lock」などのオンスクリーン表示が、ディスプレー中央でなく右側に、「目立つが邪魔にならないように」表示されたり、内蔵マイクの調整機能が充実していて、タイプ音ノイズの軽減や複数話者対応が楽であったりと、とにかく「使っている人が作っているのだな」という印象を受ける。
なお本来X220は、カスタマイズによってOSのブート時間を短縮する「Lenovo Enhanced Experience 2.0 for Windows 7」対応機種なのだが、4290-RW4はHDDモデルであるため、その恩恵がはっきりとは感じられない。電源オンからのブート時間は、実測で40秒から45秒というところだ。SSDモデルならば、ブート時間が10秒程度になるということなので、予算に余裕がある人にはお勧めだ。
結局X220をお勧めするか否かは「予算」につきる。Lenovoダイレクトのキャンペーン価格を活用するとかなり安価にはなるが、試用機の4290-RW4の場合、実売価格は19万円程度になる。長期間使うと考えれば納得いく価格だし、それだけの内実は備えていると思う。
他方で、同じ性能・同じバッテリー駆動時間が欲しいだけなら、もっと安価な製品もある。「本気で2、3年仕事に使える」製品として、投資する形で買うべき物だと感じる。その際できるなら、多少予算がアップしてもSSDを選んでおくことをお勧めする。
- お勧めする人
- ・安心して長く仕事に使えるモバイルノートが欲しい人
- ・いざという時は「超長時間駆動」を実現したい人
ThinkPad X220(4290-RW4)の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Core i5-2520M(2.50GHz) |
メモリー | 4GB |
グラフィックス | CPU内蔵 |
ディスプレー | 12.5型ワイド 1366×768ドット |
ストレージ | HDD 320GB |
光学ドライブ | 搭載せず |
無線通信機能 | IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 3.0 |
サイズ | 幅305.0×奥行き206.5×高さ19~26.6mm |
質量 | 約1.46kg |
バッテリー駆動時間 | 約8.9時間 |
OS | Windows 7 Professional 32bit版 |
直販価格 | 19万6350円 |
■Amazon.co.jpで購入
筆者紹介─西田 宗千佳
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)、「クラウド・コンピューティング仕事術」「iPhone仕事術!」(朝日新聞出版)、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(共著、徳間書店)。「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)。
この連載の記事
-
第116回
PC
「VAIO Duo 13」—革新は形だけじゃない! 変形ハイエンドモバイルに込めた思い -
第115回
PC
ソニーの本気—Haswell世代でVAIOはどう変わったか? -
第114回
PC
渾身の「dynabook KIRA V832」はどう生まれたのか? -
第113回
PC
HPの合体タブレット「ENVY x2」は、大容量プロモデルで真価を発揮! -
第112回
PC
ソニー“3度目の正直”、「Xperia Tablet Z」の完成度を探る -
第111回
PC
15インチでモバイル! 「LaVie X」の薄さに秘められた魅力 -
第110回
PC
フルHD版「XPS 13」はお買い得ウルトラブック!? -
第109回
デジタル
ThinkPad Tablet 2は「Windows 8タブレット」の決定打か? -
第108回
デジタル
今後のPCは?成長市場はどこ? レノボ2013年の戦略を聞く -
第107回
PC
Windows 8とiPadがもたらす変化 2012年のモバイルPC総集編 -
第106回
PC
Clover Trailの実力は? Windows 8版ARROWS Tabをチェック - この連載の一覧へ