このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第44回

Core i7+マルチタッチ ThinkPad X201 Tabletの実力

2010年03月25日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 iPadの発表以降、タブレットタイプのコンピューターに妙に注目が集まっている(ひょっとしたら、筆者もその火に油を注いでいる側かも知れないが)。とはいえ、「タブレット」という言葉をコンピューターの世界で知らしめたのは、やっぱりマイクロソフト。普及度はどうもパッとしないし、iPadほどの華麗さはないが、各シーズンにいくつかは、「ちょっと気になるタブレットPC」が登場する。

 今回試用した「ThinkPad X201 Tablet」も、そんな存在だ。Core i7搭載に指でのマルチタッチ、さらには電磁誘導式のペン入力と、この時期のタブレット搭載ノートとしては「全部入り」と思われるこの製品の使い勝手をチェックしてみよう。

ThinkPad X201 Tablet

ThinkPad X201 Tablet


「ヒンジしっかり」でノートパソコンとしては申し分なし

 X201 Tabletは、同社の「ThinkPad X201」をタブレット化したものだ。この手法は、2005年に発売された「ThinkPad X41 Tablet」から続くもので、ThinkPadシリーズとしては伝統ともいえる。

 実は、筆者も一時はX41 Tabletをメインマシンとしていたことがある。このシリーズはディスプレー部が回転して、通常のクラムシェル型とタブレット型に「変形」するのが特徴。最近は軽量なピュアタブレット型端末に注目が集まっているが、ノートパソコンとしての操作性をスポイルしない構造としては、この形状(俗にいうコンバーチブル型)が向いている。ディスプレー部には、タブレット型での操作を補助するためのボタンも用意されている。

X201のヒンジとタブレット型向けのボタン

X201のヒンジとタブレット型向けのボタン。多少揺れてもぐらつかないほどしっかりしている。ディスプレー右端には指紋センサーも組みこまれている

フロントはシンプル

フロントはシンプル。右端にマルチカードスロットと無線アンテナがある。ラッチは、ディスプレーを表・裏両方で使った際に止められるよう、貫通した構造になっている

本体左側面

本体左側面。左から電源、アナログRGB出力、LAN、USB、ExpressCard/54、内蔵無線機器スイッチ

本体右側面

本体右側面。左からUSB、ヘッドホン、マイク、モデム、スタイラスペン、USB

 とはいえこのシリーズは、「ディスプレーを簡単にタブレット対応に変えたもの」とは趣きが異なる。ディスプレー部の構造が非常に凝っており、操作感が良いからだ。特にX201 Tabletは、回転するヒンジ部分の座りがとても良好だ。コンバーチブル型のパソコンはヒンジが回転するために、どうしてもディスプレーが今ひとつ安定しないものが多い。筆者も試用レベルで10機種近く、個人所有で4機種ほどこの種の製品を使ってきたが、最終的に気になってくるのがこの部分だった。X41 Tabletは良好な部類だったが、改めてX201 Tabletと比較して見ると、やっぱりちょっと安定していない。

 X201 Tabletは、とにかくこのヒンジがしっかりしている。膝の上で使ってもディスプレーがぐらつくことはないのだが、回転が「重い」わけではない。きちんと意志を込めて回せば、さほど力をかけることなく回転して、タブレット型になってくれる。このカッチリ感は実に「ThinkPad」らしい。

 こういった設計は、単にディスプレー側に手を入れるだけでは無理だろう。ボディ設計時からきちんとバランスや構造を考えておき、トータルな設計が行なわれていると思われる。そのためタブレット部を無視して使った場合も、X201 Tabletは普通に快適なノートパソコンに仕上がっている。タッチセンサーがあるせいか、若干ディスプレーにぎらつきと輝度の不足を感じるが、普通に使う分には問題ない。

 そもそもX201は、性能面でいえば申し分のないパソコンである。Windowsインデックスエクスペリエンスの値は「3.3」と高くない。CPU内蔵グラフィックスのパフォーマンスが足をひっぱった格好だが、ビジネスアプリケーションで極端な不満が出る値とは思えない。CPUは十分に速く、フル負荷状態を維持するのがなかなか難しいほどだ。

Windowsエクスペリエンスインデックスの値

Windowsエクスペリエンスインデックスの値

 キーボードもThinkPadらしいタイプ感であり、不満を感じない。さすがにタッチパッドのサイズは小さめだが、そもそも「トラックポイントの予備」だと思えばこんなものだろう。発売直後の直販価格は約27万円、本稿執筆時点のキャンペーン価格でも17万円を超えており、いまどきのパソコンとしては高級品だが、それだけの良さは体感できる。

キーボードはX201とほぼ同じ

キーボードはX201とほぼ同じ。タッチ感もサイズも良好で、いかにもThinkPadらしい。個人的には、もう少し押し下げ感にキレがあるといいのだが

サイズは週刊アスキーよりもちょっと大きい程度

サイズは週刊アスキーよりもちょっと大きい程度。12.1型ワイドディスプレー採用製品としては大柄だ

前へ 1 2 3 次へ

この連載の記事

週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中