東日本大震災の影響を考慮して、公開が遅れていた「Windows Internet Explorer 9日本語版」(以下IE9)が、26日午前0時から公開された。一足先に公開された米国などでは、IE8に比べて高い評価を得ている。
新世代ウェブブラウザー対決の3回目は、真打ちとも言えるIE9日本語版の特徴について解説しよう。また、先に解説したFirefox 4.0、Google Chrome 11のβ版(以下Chrome 11β)も含めた、新世代ウェブブラウザーのベンチマークテスト対決も実施した。
記事内ミニインデックス
ユーザーインタフェースも大きく改良
IE9の主な特徴は以下の3点にある。これらの特徴により、Chrome 10やFirefox 4.0など、競合の新世代ウェブブラウザーに匹敵する性能を実現した。
- HTML5対応
- GPUアクセラレーションの活用
- マルチコアCPU対応のJavaScriptエンジン
なお再三繰り返されているが、IE9の対応OSはWindows 7とVistaだけだ。Windows XPには対応しない。
3つの特徴以外に、IE9はユーザーインターフェース(以下UI)部分も大きく改良されている。そのコンセプトは「シンプル」だ。
IE9のUIは、よけいなツールバーなどをできるだけ表示せずに、ウェブサイトを表示するエリアを大きく取っている。例えば上部のアドレスバーは、検索ボックスを兼ねている。アドレスバーにテキストを入力すると、自動的に設定された検索エンジンに接続して、検索結果を表示する。
デフォルトの検索エンジンはマイクロソフトの「Bing」だが、ユーザーが独自に検索プロバイダーを追加できる点はIE8と同様だ。「Google」や「Yahoo!Japan」、「goo」や「Amazon商品検索」などが、検索プロバイダーとして用意されている。
ウェブページの更新ボタンと中止ボタンは、アドレスバーの右端に小さく表示されている。これは、マイクロソフトがIE8ユーザーの使い方を調査してみると、更新ボタンや中止ボタンはほとんど利用されていないことがわかったための変更だという。IE8よりもこれらのボタンを小さくして、その分だけ表示エリアを広くしたわけだ。
逆に、ボタンが大きくなったのは「戻る」ボタンだ。前述のユーザー調査では、多くのユーザーが戻るボタンを頻繁に利用すると判明したので、わかりやすくするために大きくしたそうだ。逆に「進む」ボタンはそれほど利用されていないため、サイズは今までと変わらない。見た目には戻るボタンだけが大きくてアンバランスだが、使ってみると何度も利用するボタンが大きいのは使いやすい。
なお、戻る/進むボタンを右クリックすると、今までアクセスしたサイトがリストで表示される。これはFirefox 4.0やChrome 10と同様だ。
そのほかに、お気に入りやホーム、ツールなどのボタンも、アドレスバーと同じ行の右端に表示されるようになった。これらもボタンをシンプルにして、ウェブページの表示エリアを大きくするのに役立っている。