新世代ウェブブラウザー小特集の2回目は、「Google Chrome」の最新β版である「V11」(以下Chrome 11)を基に、最新のChromeについて解説しよう。
ウェブブラウザーの世界に
変革をもたらしたChrome

3月にはChrome 11のアイコンがシンプルなデザインに変更された
新世代のウェブブラウザーとして2008年末に登場したChromeは、常に新しい機能と高い性能を提供してきた。特にHTMLなどウェブ標準規格への高い互換性と、高速なJavaScript処理をChromeが実現したことで、ウェブブラウザー戦争には拍車がかかった。Chromeが登場して以降、マイクロソフトの「Internet Explorer 9」(以下IE)やMozillaの「Firefox 4.0」なども、性能と互換性の向上に注力している。
Chromeはウェブブラウザーの世界に大きなインパクト与えた存在だ。しかしIE9やFirefox 4.0などの次世代ウェブブラウザーは、Chromeをひとつの目標としている。つまり「Chromeに追いつけ追い越せ」というわけだ。そのため、これらの次世代ウェブブラウザーもChromeに匹敵する性能を持ち、機能によっては追い越している部分も少なくない。
このような状況に、GoogleではChromeの開発スケジュールのスピードを上げて対抗している。IEやFirefoxは、1~2年に1回程度という年単位でメジャーアップデートを行なっている。しかしChromeは4週間でβ版、6週間でメジャーアップデートリリースという、非常にサイクルの速いスケジュールとなっている。
ただし、Chromeは短期間でメジャーアップデートを繰り返しているというものの、一度に多くの新機能を取り入れているわけではないし、ユーザーインタフェース(UI)にも大きな変更はない。内部のJavaScriptエンジンの高速化や設定画面のデザイン変更、HTML5に対応した新機能の搭載などが主体となっている。つまりIEやFirefoxとChromeでは、メジャアップデートの意味合いが異なるわけだ。
ユーザーインタフェースはほとんど変更なし
Chromeはバージョンが変わっても、UIはほとんど変わっていない。最初に開発されたUIが、それだけ洗練されていたとも言えるだろう。逆にほかのウェブブラウザーが、ChromeのUIを取り込んでいるのが実情だ。
Chromeを起動すると最初に表示されるのは、「よくアクセスするページ」だ。これはユーザーがよくアクセスするページを8つ、各ウェブページのサムネイル付きで表示するものだ。サムネイルをクリックすれば、そのウェブページを表示する。
Chromeもまた、一般的なタブ型のウェブブラウザーである。タブ機能はFirefox 4.0と同様に、タブをChromeのウインドウ外にドラッグ&ドロップすると、新しいChromeが起動してそのタブを表示する機能を持つ。あるChromeのタブをドラッグして別のChromeのタブエリアにドロップすることで、Chrome間でのタブの移動も簡単だ。
Firefox 4.0に搭載された「タブのピン留め」機能も、Chromeでは以前から「タブを固定」機能としてサポートしている。
