PSPのゲームを本体の小さな液晶ではなく、リビングにある大型テレビやPCモニターでプレイしたい。そう考えたことがある人は多いだろう。ひと昔前、そういう人が真っ先に飛びついたのが、PSPの画面を大型テレビやPCモニターに表示する専用ケーブルだ。ソニー純正の「D端子ケーブル」(型番:PSP-S170)や、ゲームテック製の「D端子+音声ケーブル」がそれだ。
ただし、このケーブルには大きな落とし穴があった。D端子を装備するテレビやモニターにPSPのゲーム画面を出力できるものの、黒い枠付きで表示されてしまい、全画面では表示できないのだ。せっかく大型テレビにPSPの画面を出力できるのに、ちっとも大画面の迫力が味わえない寸止め仕様。絶景がウリの展望レストランに行ったのに、窓を背にしたカウンター席に案内されたようなガッカリ感に、多くのゲーマーが落胆した。かくいう私もその一人だ。
時は2009年の秋、PSPを大画面で遊ぶのは無理と世界中のゲーマーが諦めかけた頃、“大迫力!! フル画面でPSP用ゲームを出力できる”とパッケージにデカデカと書かれた製品が彗星のごとく出現した。それがゲームテック製のアダプター「ワイドdeポータブルP」だ。突如現われた救世主に、多くのゲーマーが「キターーーーー」と狂喜乱舞したが、同時にその価格にも驚かされた。前述のD端子ケーブルが実売価格で1600円~2800円前後なのに対して、このアダプターはその数倍の1万2600円。もう少し足せばPSP本体が買えてしまう値段だ。憧れの全画面表示を可能にする夢の商品だが、それを手にするにはそれなりの覚悟も必要だった。現実とはどうしてこうも残酷なのだろう……。
「ワイドdeポータブルP欲しいなぁ~」と地元のゲームショップに行くたびに周辺機器コーナーで指をくわえ続けること約1年。ついにそれを見かねた店長が、ある日こっそりと私に製品を差し出してくれ……るようなことは決してなかった。が、ワイドdeポータブルPは周辺機器コーナーから忽然と姿を消してしまった。ずっと片思いだった女の子が、突然何の知らせもなく引っ越してしまったかのように、私の心にはポッカリと大きな穴があいてしまった。「こんなことなら、買っておけばよかった」と後悔するも、もう製品は売っていない。後の祭りだ。
2、3日ショップに通うも、ワイドdeポータブルPは再入荷していない。たまたま売り切れただけ? それとも生産終了? いろいろな憶測が頭の中で交錯するが、こういう時はネガティブな方向に思考が偏ってしまう。
「もう再入荷はないだろうなぁ……」
がっくりと肩を落として店を出る私は、店頭の新製品コーナーに積まれていた黒い箱を完全に見落としていた。
その存在に私が気付いたのは2010年12月、「モンスターハンターポータブル 3rd」が発売された直後だった。ちょうどモンスターハンターポータブル 3rdを買いに来た時に、PSPを全画面表示できるアダプター「HDMI UpScaler LKV8000」のポップをたまたま見かけたのだ。行きつけのショップにワイドdeポータブルPと入れ替えで入荷していたこの製品は、出力端子がHDMIなうえ販売価格も6980円と、ワイドdeポータブルPの約半額に近かった。これはもう即ゲットでしょう! 狙った獲物はもう絶対に逃がすものか!
と喜び勇んでレジに向かうものの、やはり現実は厳しかった。LKV8000は完売。モンスターハンターポータブル 3rdの発売直後ということもあり、全画面表示可能なアダプターの人気は急上昇中。再入荷は12月中旬と告げられた。
12月中旬から1月中旬は、1年の中でも仕事がかなり忙しい時期だ。当然ゲームをプレイする時間も、ショップにLKV8000を買いに行っている暇もない。そんなこんなで、私がLKV8000を購入できたのは1月27日。おりしもその日は「俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブル」の発売日だった……。
と、前振りだけで1ページも使ってしまったが、ここではやっとの思いで手に入れた「俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブル」、じゃなくてPSP用全画面表示アダプターLKV8000を、たっぷりと自慢しtゲフンゲフン、たっぷりと紹介していきたい。
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