7月24日をもって東北三県を除く全国で地上アナログ放送が終了となった。現実的には、まだ多少の混乱は残っていると思われるが、多くの家庭には地デジ視聴が可能な薄型テレビが導入されていると考えていいだろう。
ハイビジョンで放送されているデジタル放送を見て、その画質の良さに驚いている人も少なくないと思われる。ただし、テレビ放送がハイビジョンになったからといって、家庭のすべての映像コンテンツがハイビジョン化されたわけではない。
BDソフトはDVDソフトの売り上げをまだ追い越してはいないし、ゲームも据え置き機よりはSD以下の解像度である携帯ゲーム機が人気の主流といった印象で、任天堂の「Wii」などSD出力のゲーム機も健在だ。
そこでお薦めしたいのは、SD映像のソースをハイビジョン画質に高精細化する「アップコンバーター」だ。本特集では、こうしたアップコンバーター機能に注目し、豊富なSDソースを手軽に楽しむアイテムの実力をじっくりとチェックしてみることにする。第1回目となる今回は、外付けで使えるアップコンバーターを集めて紹介する。なお、2回目はAVアンプ、3回目は薄型テレビと液晶ディスプレーのアップコンバート機能について紹介する。
PC入力を持った薄型テレビなら応用可能!!
外付け型アップコンバーター
アップコンバーターとは、あらゆる映像ソースを薄型テレビの表示パネルに合わせて解像度を変換する機能のこと。地デジ放送では、時折地震や津波の速報で放送画面を縮小してデータ表示を行なうことがあるが、これもアップコンバート機能を利用している。
このアップコンバーターの性能が、SD画質を大きく左右する原因である。最近の薄型テレビでよく謳われている「超解像」技術も、厳密に言えばアップコンバーターそのもの、あるいはその性能を高めるために追加される技術なのだ。
高額な薄型テレビでは、ハイビジョンだけでなくDVDなどのSDソースもきれいなのは、このアップコンバーターの性能が大きく異なるためだと考えていい。
逆に言えば、アップコンバーターさえいいモノにすれば、SDソースの映像品質はかなり向上することが期待できる。これならばテレビそのものを買い換えるよりも極めて安価だ。そして、このアップコンバーターは単体モデルだけでなく、AVアンプなども内蔵しており、一般的な薄型テレビが内蔵するものよりも高性能だと言える。
事前にいろいろと調べてみると、アップコンバーターはAV機器としてはあまり商品化されておらず、あったとしても半ば業務用のおそろしく高価な製品ばかりだ。
そこで目をつけたのがゲーム機用の周辺機器。ここにはいくつかのモデルがラインナップされていた。
ただし、ゲーム機用というよりはPCモニター用の周辺機器が多く、映像出力がPC用のD-Sub15ピンやDVI端子のものばかり。基本的には、PCモニターで、SDソースの映像ソフトやゲーム機の映像を変換して表示する機器、ということになる。
このため、今回紹介する機器の多くは、D-Sub15ピンのPC入力を備える薄型テレビや、DVI-HDMI変換を使用してHDMI入力からのPC接続に対応した薄型テレビだけとなるので注意してほしい。
今回紹介する製品はこの4機種
マグレックスの「MG1000-N」はプレイステーション・ポータブルからの入力専用のアイテムで、HDMI出力を備え、720p/1080p出力が可能。ゲーム画面をテレビなどに出力するとかなりの部分が縮小表示になる映像を拡大表示できるズーム機能も備えている。
プリンストンの「デジ像 AV-BOX版」は、1920×1080ドット出力も可能なモデルで、コンポジット、S端子のほか、コンポーネント入力も備えるなど、多彩な入力に対応している。価格的にもかなりお買い得なハイコストパフォーマンスモデルだ。
エーディテクノの「あぷこん4」は、幅124×奥行き79×高さ29mmというコンパクトサイズながらコンポジット、S端子入力を備える。出力解像度は最大1024×768ドットとなるため、どちらかというと小画面のパーソナル用テレビ向けのモデルだ。
マイコンソフトの「XRGB-3」は、価格的には少々高価だが、21ピンRGB出力やD4端子、コンポジット、S端子と豊富な映像入力を備え、信号出力もD-Sub15ピンとDVI出力を備える豪華仕様となっている。
主な仕様比較 | ||||
---|---|---|---|---|
マグレックス MG1000-N |
プリンストン デジ像 AV-BOX版 |
エーディテクノ あぷこん4 |
マイコンソフト XRGB-3 |
|
映像入力 | 独自端子(PSP専用) | コンポジット Sビデオ コンポーネント PC用VGA入力 |
コンポジット Sビデオ D-Sub15ピン |
コンポジット Sビデオ D4 RGBマルチ D-Sub15ピン DVI-D |
映像出力 | HDMI | D-Sub15ピン | D-Sub15ピン | D-Sub15ピン DVI-D |
出力解像度 | 1280×720ドット 1920×1080ドット |
1024×768ドット 1280×768ドット 1280×1024ドット 1440×900ドット 1600×1200ドット 1680×1050ドット 1920×1080ドット 1920×1200ドット |
640×480ドット 800×600ドット 1024×768ドット |
320×240ドット(簡易対応) 640×400ドット(簡易対応) 640×480ドット 1024×768ドット 1280×768ドット 1280×1024ドット 1360×768ドット 1440×900ドット 1600×1200ドット 1680×1050ドット 1920×1080ドット 1920×1200ドット |
実売価格 | 1万3000円前後 | 7000円前後 | 1万2000円前後 | 3万5000円前後 |
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