決して高性能ではないが「動画」には強い!
Windowsエクスペリエンスインデックスでゲーム向けのグラフィックスコアが高かった理由は、Fusion APUが内蔵しているGPUの特質によるものと考えられる。Fusion APUが搭載しているGPUは「Radeon HD 6310」。特徴はDirectX 11やHDビデオのデコードに対応していることにある。おそらくはDirectX 11対応の分、高いスコアが出ていると考えられる。
AMDはこのGPUの性能を、単体GPU製品である「Mobility Radeon HD 5430」に匹敵するものと説明している。せっかくなので、モバイル用途とはちょっと違うが、DirectX 11世代のベンチマークテストと、重いことで知られる「ファイナルファンタジー XIVベンチマーク」(FF XIV)で動作を確かめてみた。
正直言えば、ベンチマークの数値はさほど高いものではない。コマ落ちも激しい。DirectX 11対応とはいえ、最新のゲームをガンガンやるには絶対的能力が不足している。しかし、表現の面では大きな問題は見受けられず、「たいしたものだ」と感じた。「軽めのゲームなら大丈夫」というのはこの種のノートパソコンでは枕言葉のように使われるが、VAIO YBの場合、CPU性能こそ不足気味だが、本当にちょっと前のゲームなら問題なく動作するだろう。
各ベンチマークソフトでの計測結果。基本的には、ディスプレーサイズをVAIO YB向けに変更した以外、デフォルト値での計測結果。すべて不具合なく動作しているが、値は決して高いものではない。
3DMark 11 解像度1366×768、そのほかはデフォルト | ||
---|---|---|
Graphics Score | Physics Score | Combined Score |
170 | 588 | 190 |
Heaven Bench v2.1 解像度1366×768、そのほかはデフォルト | |||
---|---|---|---|
FPS | Scores | Min FPS | Max FPS |
1.1 | 37 | 1.1 | 2.4 |
FFXIV Low 解像度1280×720 | ||
---|---|---|
438 |
むしろ、より多くの人にとってVAIO YBの価値が高いのは、動画再生支援の優秀さだ。YouTubeやニコニコ動画などにアップロードされている1080pクラスの高解像度動画を再生してみても、コマ落ちは一切ない。特にYouTubeの場合、再生中でもCPU負荷は3割から4割といったところで、再生時でも動作は決して重くない。
もうひとつ重要な点は、これらの比較的負荷が重い処理を行なっている時にも本体の発熱がかなり小さい、ということである。
VAIO YBはファンレスマシンではなく、本体左側に排気用ファンが存在する。しかし、相当に負荷が高まった時でないと実際にはファンは回らない。冬場で気温が低いせいもあるだろうが、YouTubeで1080p動画を再生したくらいでは、なかなかファンが回り出さないほどだ。
さらに、高負荷になってもアイドル時との発熱差は相当に小さい。当然これは、システム全体の省電力性能の高さを示したものだ。
バッテリー駆動時間も同様に優秀である。いつものごとく、バッテリー性能ベンチマークソフト「BBench」を使った、無線LANでの通信+キー入力という負荷が大きめのテストを行なってみた。
BBenchによるバッテリー駆動時間テスト。どちらもディスプレー輝度は最低から2番目を使用 | |
---|---|
省電力設定 | バランス設定 |
約3時間55分 | 約3時間48分 |
すると、省電力設定でもバランス設定の場合でも大差がなく、おおよそ4時間弱の動作となった。VAIO YBのカタログ表記(JEITA1.0値)が約7.5時間となっているので、そこそこ優秀な値といえる。無線LANや不要な各部機能の電力を細かく切るなどの設定を突き詰めればもう少し値は伸びそうだが、省電力設定もバランス設定も大差なかったのは面白い傾向だ。
また、バッテリーの残りが20%程度になってからの「粘り」が長い印象で、このあたりはAMDの省電力設計の賜物といえるかもしれない。仮に別売の「Lバッテリー」(カタログ値約11時間)を利用したとすると、おおむね5時間40~50分程度の動作時間となる。価格と重量、性能を考えれば十分なものといえそうだ。
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