前回は米テキサス・インスツルメンツ(TI)のARMコアSoCのロードマップについて細かく紹介したので、今回はTI以外の主要な携帯電話/タブレット向けプロセッサーをまとめてみた。
ちなみに、この図で示したのは「現在発表されている」製品に限っている。例えば韓国サムスン電子(Samsung)は、2010年11月に「Cortex-A9 MP+Mali 400」の動作デモを行なっている。だが、あくまでもこれは試作品ということで、公式には発表されていないので図には入れていない。同様に、アップルもiPhone 4/iPadで搭載する「A4」プロセッサーの後継として、Cortex-A9 MP構成の「A5」プロセッサーを準備中と広く報道されている。だが、これも公式なものではないので省いている。
さて、前回のTIのロードマップからもわかるとおり、ARMコアも近年では、アプリケーションプロセッサーとしての強化に舵を切っているのは間違いない。そのため、携帯向けの製品をラインナップしていた米クアルコムやスイスのST-Ericsson、サムスンといったメーカーが、必然的に強いポジションを占めていた(TIも同様)のは意外ではない。まずはこの3社あたりから順に解説していこう。
サムスンのARMコアプロセッサー
サムスンは携帯電話向けのプロセッサー製品を手がける一方で、DRAMや各種モバイル向けRAM、無線やベースバンド関係コンポーネントなども取り揃えており、加えてASICの製造サービスなども提供している。そのため、「でき合いの製品」という意味でのアプリケーションプロセッサーも用意はしているが、それ自体を売るというよりも、むしろ顧客ニーズに合わせて自社の製品ポートフォリオを自在に組み合わせて提供でき、その際のサンプル的としての意味合いも強い。
実際に、初代のiPhoneに搭載されたプロセッサーは、おそらくは「S3C6400」という、同社の第3世代製品をベースにしたカスタム品と推定されている。そうした理由もあって、これから名前を挙げる標準品が、どこまで使われているかは微妙である。
サムスンは現在、「ARM7TDMI」をコアに搭載した66MHz動作のプロセッサー「S3C44B0」から、「ARM9」を搭載した「S3C2400」シリーズ、「ARM1176JZF-S」を搭載した「S3C6400」シリーズ、および「Cortex-A8」を搭載した「S5PC100」という、計4世代の製品をラインナップしている(ARMコア自体のロードマップについては、連載第82回を参照のこと)。
特にラインナップが多いのが第2世代だ。基本となるのは、「ARM920T」の200~266MHzコアを搭載した「S3C2410」である。これをより高速動作させたり、インターフェースを追加したものに加え、CPUコアを「ARM926EJ」や「ARM946E-S」に入れ替えたものなど、標準で9種類がラインナップされている。
第3世代については、「ARM1176EJ-S」をCPUコアに搭載した「S3C6410」という製品が標準品となっている。これに、ベクターグラフィックスの表示高速化を行なう「OpenVG」アクセラレーターや、カメラ用インターフェース規格「MIPI」などを追加した「S5P6440」が、エンジニアリングサンプル品で用意されている。だがこれは、量産品と言うよりもカスタムSoCの中核用という感じだ。
現在のラインナップ上ではハイエンドとなる「S5PC110」の内部は、上に掲載したスライドのようになる。ベースバンド向けのチップが当初から別チップ扱いとなっているのは、おそらくカスタムの際の柔軟性を高めるためであろう。
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