鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第25回
4K2Kや3D、ネットワーク機能の強化で、TVがさらに進化!!
テレビの価格下落がない!? 2011年を大胆予測!
2011年01月12日 12時00分更新
再生チャンネルがもっと増える!?
ホームシアターの未来はどうなる
最後は、ホームシアターの話題だ。最近では、薄型テレビでも音質にこだわった製品が(数こそ少ないながらも)登場してきているが、5.1ch再生などを考えると、AVアンプやホームシアター機器の進化に期待したくなる。
とはいえ、AVアンプもホームシアター機器も、機能的にはほぼ一段落した格好で、この先大きな進化がありそうにないのも事実。そうなると、こちらもインターネット機能の追加で付加価値を……と、似たような話の繰り返しになりそうだ。
しかし、AVアンプは薄型テレビやBDレコーダーに比べれば、欲しい人が買う趣味性の強いアイテムだし、よりマニアックな方向性を突き進んでほしいと考える。
ネットワーク機能と言えば、やはり24ビット192kHzといった高品位な音源データに対応したDLNA再生機能に期待したい。DLNA対応という意味では、多くのメーカーのAVアンプが対応しているが、DLNA規格のマンダトリである16ビット48kHzまでの音源にしか対応していない機器が多く、ハイサンプリング音源を手軽に楽しめる環境が揃っているとは言い難い。
24ビット192kHz楽曲のネットワーク再生が高級機だけでなく、普及モデルでも楽しめるようになることに期待したい。
また、比較的すぐに登場する製品としては、アップルの「AirPlay」に対応したAVアンプやスピーカーなどがある。これは、なぜか公式にはDLNAに対応していないMacintoshの「iTunes」で管理している楽曲や動画を無線で送信でき、対応したスピーカーやAVアンプで再生して楽しめるというもの。
すでに多くのAVアンプなどが対応しているiPod DockやUSB接続によるiPodの音楽再生機能を、iTunesから直接、無線ネットワークでも楽しめるようにするものだ。
接続の手間が不要になるメリットは大きいし、iPod用スピーカーにしてもiPod Dockありきのデザインである必要がなくなるので、よりユニークなデザインの製品が登場する期待もある。
Wi-Fiなどによる無線接続は、AVアンプに限らず薄型テレビやBDレコーダーでも積極的に進んでいくと思われる。個人的にも無線接続は便利で積極的に活用しているのだが、接続不要なメリットは、今後ますます加速していくデジタル家電での積極的なインターネットの活用という意味でも不可欠だろう。
このほか、サラウンド再生では、一般的な5.1~7.1chシステムに、さらに再生チャンネル数を追加する動きもある。前方の高い位置にフロントハイスピーカーを追加する7.1chまたは9.1ch再生はすでに中級機以上のモデルでは採用されているが、DTS社ではそれをさらに拡張した11.1ch再生の「DTS NEO:X」を提案。オンキヨーがこれに対応するAVアンプを発売する予定となっている。
これは、フロントハイスピーカーに加え、左右の両側にスピーカーを追加するものだ。とはいえ、パッケージソフトでは従来どおり7.1ch音声が主体で、チャンネルの追加はサラウンド空間の再現能力を高めることや、広い部屋でのサービスエリアを広げるものと考えていい。
チャンネル数が増えるほど、音場の再現性は優れると言えるが、その一方でスピーカー追加による設置場所やコストの問題も増える。さらにチャンネル数が増えることによる位相干渉などの問題も顕著になり、音場補正などの高精度化が要求されるなど、解決すべき問題は少なくない。
それに対する解決策と言えるものが、“バーチャルサラウンド”の再生技術。こちらは逆に前方2本のステレオスピーカーだけで、後方の音まで再現しようとするもの。2本のスピーカーだけで多チャンネルの音をまとめて再現する難しさはあるものの、たくさんのスピーカーを必要としない点などメリットは多い。
薄型テレビに内蔵されるようなバーチャルサラウンド機能だけでなく、ホームシアター機器でも技術革新により7.1chあるいはそれ以上のチャンネルでの再生の実現を期待したい。
また、AVアンプでは、5.1chは実スピーカーを使用し、擬似的に7.1ch化、9.1ch化する動きもある。個人的にはこちらの方への期待度が高い。DTS NEO:Xの11.1chだけでなく、NHKなどが研究開発を行なっている「スーパーハイビジョン」では、サラウンドチャンネル数は22.2chとなるなど、多チャンネル化の動きに際限がない。
しかし、よほどのマニアでもスピーカーを24本も置くことは現実的ではなく、実際には5.1chなどのシステムとバーチャル再生技術を組み合わせた22.2ch再生になると思われる。
こうしたバーチャル再生技術の進歩は、ユーザーメリットにも直結するので、どしどし登場してほしい。
今年もユニークで先進的な製品に期待!
冒頭で述べたように、今年は薄型テレビをはじめとする国内のAV機器にとってはあまり良い年とは言えない。メーカーによっては、これから需要が立ち上がる途上国向けのテレビ開発を優先することも十分にありうる。
しかし、それでは将来が先細りになるだけだし、国内メーカーの多くは、規模はともかく、今年もユニークな提案に満ちた最新テレビを発売してくれるであろうことは間違いなさそう。
だから、きっと今年も読者諸兄の胸を熱くさせてくれるAV機器が続々登場するはず。期待せよ!!
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