「はやぶさ」はどうしても入れたかった
── 4月末からどうやって企画を詰めていきましたか?
高田 ウエハース菓子というのは決まっていて、あとは中にどういうオマケを入れるかという話でした。最初に、ニコ動にまつわるシールというか印刷物を入れよう、っていうのは一応決まっていましたが……。
岡村 最初は「ニコ単カード」っていう英単語帳みたいなワードだけのカードだったんです。でも、ニコ動はワードのみに魅力があるわけじゃないので、できればちゃんとキャラクターがあり、そこにストーリー性を持たせたかった。「コメントで動画(の価値)が変わる」とか、そういう要素を盛り込みたかったんです。当初は2ちゃんねる用語も多かったんですが、それも違うのでうち発祥の単語を増やして。
高田 僕自身がユーザーだったものですから、ユーザーの気持ちにまず立ちたかったというのが第一です。でもコアユーザー向けじゃなくて、まだ使って間もない、ライトからミドル向けの方々に対してアピールしたかった。
── 用語として「これだけは入れたかった」というものはありますか?
高田 どうしても入れたかったんだけど、無理だろうと考えていたのが、惑星探査機の「はやぶさ」ですね。
岡村 はやぶさ帰還のときには、ニコ動でもすごく盛り上がって、生放送もやった。「はやぶさ」自体にもストーリーがあって、あれだけ感動させてくれたので、ぜひ形にしたくてJAXAの方に連絡してみたところ、通ってしまった。
高田 僕はもう「はやぶさ」が大好きで、2005年に打ち上げられた時からずっと応援していました。帰還した6月13日には、仕事を休んでオーストラリアまで行きたいなと思っていたぐらいですから、「ニコニコ動菓」を通じて携われてすごく嬉しかった。
── 逆に、「nice boat.」は、よく入れたなと……。
岡村 これはもう入れなきゃだめだろうと思いまして。最近は削除された後の動画を見る機会が減ったので、初期からニコ動を見ていないと通じないネタかと思います。
逆に、泣く泣く漏れてしまったのは、吉幾三さん、「IKZO」さんですよね。カードに入る予定だったんですが、事務所への確認と、生産にゴーサインを出すタイミングがどうしても折り合わなかった。後日オーケーの連絡が届いたんですけど、その時にはもう生産に入ってしまったので、間に合わずという……。ニコニコ動菓は、dwango.jpのサイトとも連動してまして、一定個数買っていただくと、待ち受け画像として「IKZO」をゲットできます。
── お菓子自体は、どこにこだわられましたか?
高田 基本的にはニコ動ユーザーがターゲットですから、パソコンかケータイが目の前にあるケースが多いかと思います。家でリラックスして、映像を楽しみながら食べるということですから、ワンハンドで食べられるのがいいだろうという。
ウエハースの中にはチョコレートが入ってますが、そのチョコにココアクッキークランチが混ざってるんです。色々調査したんですが、少し苦味がきいていて甘さを抑えたくらいが人気でした。食感も今のトレンドに合わせて、口の中でサッと消えるようにしています。チョコレートの研究者も太鼓判を押す味です。
── 最後に、ビックリマンのように第2弾以降もあるんでしょうか?
高田 できれば自分の中ではやりたいと思ってますけれど、会社のことですから、ある程度結果を見ないとなんとも……。うまく結果を出して、次につなげたいです。
岡村 第2弾では、生主さん(ニコニコ生放送の人気ユーザー)や歌い手さんなど、「人をカード化したい」という思いはありますよね。今回取り上げてしまうと、その人が「運営のお気に入り」みたいに見えてしまって、逆にユーザーさんに失礼かなと思うので見送ったんです。次はユーザーさんの意見を反映しながら、実現できればいいなあと思っています。
── いっぱい食べてもらえれば、さらに新しいカードができるかもしれない。
岡村 あるかもしれないですね。
高田 ぜひコンビニなどで手に取ってみてください。よろしくお願いします!