「ねこ鍋」をトップに見せてゴーサイン
高田 ただやっぱりビジネスとして行くので、それだけじゃまずいなと思ったので、何か企画のアイデアみたいなのを持っていこうと。「ビックリマンチョコ」のサンプルをお見せして、こういうウエハース菓子を出しませんかと厚かましくもお話しさせていただいたという。それが今年の2月10日の話です。
── そのとき岡村さんはどう思いました?
岡村 僕自身は、すごく単純にありがたいなということだけですね。ただうちの会社で話を通してみたところ、「で、いくら払えばいいの?」とか「そんなおいしい話があるわけないじゃない」という反応が最初に返ってきました。もしくは、「多分、どこかでサンプル配るぐらいのニッチな商品なんだろう」という。
でも、だんだん話が進んでいくにつれて、「コンビニ販売」や「全国展開」といった話が出てきて、うちの社がどよめいたという……。基本的にうちは社員の平均年齢が30代なので、まさに「ビックリマンチョコ」世代なんですよね。
── 私も集めてました(笑)。
岡村 全員が色めき立って、前例がないくらいにいろいろな部署が協力してくれました。例えば、カードに採用する言葉はニコ動の「運営長」が関わってくれましたし、発売日までのプロモーションには生放送のチームががんばってくれました。「ニコミュ」を担当している片岡義朗プロデューサーは、過去に「ビックリマン」のアニメ化に関わっていたこともあるので、カードの最終確認をお願いしています。
── 高田さんは、ロッテで企画を通すのは大変じゃなかったんですか? そもそもニコ動自体を知っているかどうか……。
高田 たまたまYouTubeでガムの「Fit's」をテーマにしたダンスコンテストを開催していて、その実績が上がりだした頃だったので、上の人間も「そういう世界はあるんだな」と知ってくれてはいたみたいです。
でも、ニコ動とYouTubeは全然性格が違うので、それを理解してもらうのに時間がかかりましたね。とにかく見てもらおうと、4月末、商品企画のゴーサインをもらうプレゼン時にパソコンを持ち込んで、うちのトップに「ねこ鍋」の動画を見せたんです。
── 反応はどうでしたか?
高田 本当の意味で理解してもらえたかどうかは分かりませんが、「なるほど、そこまでお前がやりたいならやってみろ」と。あとは、別の偉い人の息子さんがニコ動のユーザーだったので、結構助かったというのもあります。トップの理解がわりと早かったので、話も通りやすかった。
岡村 その前からほぼOKが出ていたっていうのは伺っていましたが、最終的なゴーサインをもらうまでは、いつ頓挫してもおかしくないなとドキドキしていました。ちなみに、ニコニコ動菓を製造している工場長のお子さんもニコ動ユーザーという話も聞きましたよ。
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