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ロッテのニコ厨が本気を出した、「ニコニコ動菓」開発秘話

2010年12月10日 12時00分更新

文● 広田稔(@kawauso3

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ボーカロイドがきっかけで、ニコ厨に「落ちた」

── 話を「ニコニコ動菓」に戻しますが、そもそも作るきっかけは何だったんですか?

高田 これはいろいろなところで話していますが、僕がニコ動の大ファンだったという。いわゆる「ニコ厨」です。

「ニコ厨」を自称する高田さん


── 本当ですか? メディアの人間だと、「マーケティング上、そういう話にしている」と、穿った見方をしてしまうんですが……。

高田 いや、商品作る以前からニコ動のいちユーザーだったんですよ。2007年の「(RC)」時代から見ていますね。一番ハマったのは、ボーカロイドです。当時、仕事か何かでYouTubeを調べていたら、関連コンテンツに初音ミクが出てきたんです。最初の頃は気にも留めてなかったんですが、違う動画を検索しても出てくる。これは一体何だと。

 すごく歌が上手いので、その時はボーカロイドをソフトだとは思っていなかったんです。興味を持って初音ミクを検索すると、ニコ動に必ず行き当たる。ユーザー登録して使ってみたところ、自作曲をボーカロイドに歌わせて、何の見返りもなく無償でサイトに出し、それをみんなが見て何かしら反応しているというすごい状況があった。ものすごくピュアでクリエイティブな世界だった。

2007年当時のニコニコ動画(RC)


── それはすごくよく分かります。

高田 そのことに気付いたとき、背中に電気が走ったといいますか。さまざまな「P」(プロデューサー、作り手)が投稿している楽曲のクオリティーが高くて、これが本当に素人なのかと。中にはセミプロみたいな人もいるって聞いて、あとで納得したんですが、どちらにしろ一般にCDを出しているようなプロの方と比べても遜色のない曲が毎日アップされている。

 僕自身、お菓子の商品開発をしていまして、そんな偉そうなものじゃないけれど、クリエイティブなことをしている者の端くれだと思っています。ボーカロイドの世界を知った時に、すごくエネルギーをもらったんです。

 会社勤めだと、嫌なこととかあったりするじゃないですか。落ち込んで帰ってきたりとかしたときに、ボーカロイド曲を聴いて元気付けてもらう期間が一年ぐらい続いたんです。ひどいときは朝方まで見てましたね。そのぐらい見ないとエネルギーが回復しない……。

「ひどいときは朝方まで(ニコニコを)見てましたね。そのぐらい見ないとエネルギーが回復しない」(高田さん)


── す、すごいですね……。当時一番聴いていた曲は?

高田 一番最初に聴いたのは、tomoPさんの「星空に願いを込めて -Good Night<」ですね。少なくとも200回は再生しています。じわじわ伸びていって、アップロードされてから一年半ぐらいかけて「殿堂入り」(10万再生超え)したという。





── 宣伝部に在籍していたということは、プロのミュージシャンとCMのタイアップ曲を作ったりもしていたってことですよね。その目で見ても、ボーカロイドの世界はすごいなと。

高田 すごいです。楽曲のレベルもそうですし、オリジナルのメッセージがそこにある。ただ単に格好よくとかじゃなくて、歌詞の内容とかも含めて、Pさんたちが発信したいことが、すごく色濃く反映されている。裏ではいろいろ大人の事情があるのかもしれませんが、商業主義的な匂いがまったくしなくて、純粋に自分の作ったものを聴いてくれよという思いが伝わってきたときに、「落ちた」というか。その瞬間に「ニコ厨」になってしまった。


── その頃から「ニコニコ動菓」の企画を暖めていたんですか?

高田 いや、最初の一年間は、単純にエネルギーをもらうだけだったんです。でも、1年ぐらい経つとさすがに申し訳ない気持ちが募ってきて、「もらってるだけでいいのか、何か自分にできることはあるんじゃないか」と考えるようになった。その後、たまたまドワンゴさんと縁の深い方と別の仕事で知り合って、そのつてで企画を持ち込むことになりました。最初はドワンゴ本社に行けるってだけで、うれしかったんです(笑)。


── それじゃただのニコ厨じゃないですか!



(次ページに続く)



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