サーバー選びはフォームファクター選びから
フォームファクターで分類するx86サーバー
2010年11月19日 09時00分更新
小型サーバーを多数収容するブレード型
ブレード(blade)とは「刃」という意味で、刃のように見える1枚の基板の上にサーバーとして必要な部品を実装した「サーバーブレード」、あるいは1つの筐体内に何枚かのサーバーブレードを組み込んだ製品を指して「ブレード型サーバー」という。単体のサーバー(サーバーマシン)というよりは、サーバー機能を提供するためのシステム商品(サーバーシステム)である(写真5)。
サーバーブレードには、CPUやメモリ、HDDなどが実装されるが、電源部は筐体側にあるため、サーバーブレード単体では動作しない(写真6)。
つまり、ブレード型サーバーは、サーバーブレードを筐体側にあるスロットに差し込んだ状態でのみ使用できる。また、各ブレードには通信(ギガビットEthernetなど)や外部記憶装置(ファイバチャネルなど)のインターフェイスがあり、筐体側にそれらのスイッチモジュールを組み込むことができる(図1)。
ブレード型サーバーでは、ファンや電源モジュールなど大きな部品は筐体側に搭載されるため、サーバーブレードはコンパクトになっている。1つの筐体に多数のサーバーブレードを装着でき、ラックマウント型サーバーよりも集積度は上がっている。筐体は19インチラックに対応しており、1本の19インチラックに200台以上のサーバーブレードを詰め込むことも不可能ではない。
また、サーバーの増設や交換は、ブレードの追加・交換だけで済み配線作業が必要ないため、保守性が非常に高い。さらに、筐体側にマネジメントコントローラー(サーバー管理機構)を搭載し、筐体内の複数のサーバーブレードを一括して管理できる製品が多い。これにより、多数のサーバーを比較的少数の管理者で効率的に運用することを可能にしている。
オリジナル形状採用のモジュラー型
ブレード型サーバーをさらに発展させ、集積度の向上を狙ったのがモジュラー型サーバーである。厳密な定義はまだ確定していないが、ブレード型サーバーでは筐体内に収容されていた、電源やFCスイッチ/Ethernetスイッチなどを別筐体の「モジュール」として独立させ、各モジュールを必要に応じて組み合わせてサーバーシステムを構築できるようにした製品を指す。
モジュラー型サーバーでは、サーバーブレードに省電力のCPUを搭載。HDDを省略したり、SSD(半導体ディスク)を搭載することで、19インチラック用の筐体に20枚程度までブレードを横一列に搭載可能な機種がある。ちなみに、HDDを搭載した従来型のサーバーブレードを用いると、19インチラック用の筐体へ横一列に搭載可能なブレードは10枚程度が限界である。
モジュラー型サーバーマシンは、最近のトレンドであるクラウド・コンピューティング用の大規模なサーバーシステムを構築するために使われることが多い。(写真7)
フォームファクター以外から見た変わり種サーバー
こちらの2種類は、フォームファクターによる分類ではないが、特徴あるサーバーマシンなので取り上げておこう。
SOHOなどに適したマイクロサーバー
マイクロサーバーは、超小型のタワー型/ボックス型といった形状をしており、x86系CPUの中でも消費電力の小さいATOMやAthlon IIなどを搭載する。CPU能力がさほど要求されないファイルサーバーやプリントサーバーなど、SOHOなどの狭い事務所内に設置するために使われることが多い。
世界でも、国土の狭い日本で特にニーズの高い製品である(写真8)。
(次ページ、「保守期間の長い産業用サーバー」に続く)
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