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ミッションクリティカル向けIAサーバーの新モデル

ようこそXeonへ!富士通「PRIMEQUEST 1000」登場

2010年04月01日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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3月31日、富士通は基幹系のIAサーバー「PRIMEQUEST」のラインナップを一新した。発表されたばかりの「Xeon 7500プロセッサー」を採用し、価格性能比を最大約6倍に引き上げたという。

メインフレームの信頼性を
オープンシステムで

 富士通はメインフレーム、オフコン、UNIXサーバー、Windows/Linuxサーバーなど各種サーバーを取りそろえている。このうちPRIMEQUESTは、ミッションクリティカル領域をカバーするサーバーブランドで、2005年からItanium搭載のモデルが提供された。「オープンミッションクリティカルを切り拓く」を謳い、メインフレームで培ってきた信頼性と性能を、オープンなIAアーキテクチャで実現している。現状、世界23カ国で1400台の実績を誇り、日本でも東京証券取引所の株式売買システム「arrowhead」をはじめ、ヤマトグループ、コニカミノルタホールディングなど多くのミッションクリティカルシステムで採用されているという。

IAサーバ事業本部長 河部本 章氏

 今回発表された「PRIMEQUEST 1000」の最大の変更点は、搭載プロセッサーをItaniumからXeonに変更したところ。これまでと同じくWindows/Linuxで世界最高レベルの性能を実現しつつ、従来機に対して価格性能比も3~6倍へ引き上げたという。さらに最新のXeon 7500の採用により、「PRIMERGYで動くモノは、すべてPRIMEQUESTで動く。ソリューションのバリエーションが無限に拡がった」(IAサーバ事業本部長 河部本 章氏)という柔軟性を実現した。

会場で披露されたPRIMEQUESTの新モデルの特徴

 このXeonへの移行に関しては「PRIMEQUESTを最初に出した5年前には、信頼性や性能という点でItaniumしか選択肢がなかった。しかし、現在ではXeonの方が性能面は上だし、RASという面でも比肩するレベルに達している」(河部本氏)とのことで、Itaniumサーバーから撤退し、今後はXeonに移行することを明言した。

 もちろん、高い信頼性と性能という従来のコンセプトは完全に踏襲し、メインフレームと同じ開発・品質保証体制を確保。部品点数自体の削減や部品選別、組み立て後の厳しい検査を経て、既存のIAサーバーに比べて1/5から1/10という業務停止率を実現している。また、メモリやシステムボード、電源、管理ユニット等の徹底的な冗長化や、システムボードとI/Oボードの自由な組み合わせを可能にする「フレキシブルI/O」などにより高い信頼性・可用性を実現。仮想化に関しては、耐障害性に優れたハードウェアによるパーティショニングのほか、各種ハイパーバイザーによるソフトウェアの仮想化ももちろんサポート。また、消費電力に関しても、4000Wと従来の約1/3に削減した。筐体も圧倒的に省スペース化され、設置スペースは約1/3、質量は約1/5に削減された(1800Eの場合)。

7UのPRIMEQUEST 1400Sは4CPU・32コアのモデルで、最小構成300万円から

8CPU・64コア搭載可能なPRIMEQUEST 1800Eは12Uのサイズで、1140万円から

 今回発表されたPRIMEQUEST 1000シリーズは、4CPU・32コアの「PRIMEQUEST 1400S/E/L」と8CPU/64コアの「PRIMEQUEST 1800E/L」の5モデルが用意される。筐体はエントリモデルの1400Sのみが7Uサイズで、その他は12Uのサイズとなっている。また、1400Lと1800Lは最長10年の保守を可能にするロングライフモデル。「PRIMEQUESTのハードウェアのみならず、Linux、ミドルウェアなど一気通貫で、長期のサポートの体制を実現した」(河部本氏)とのことで、顧客用の保守部品と保守体制を用意した。

 こうした特徴を活かし、PRIMEQUESTはミッションクリティカル分野でのWindows/Linuxの市場を切り拓き、一部UNIXサーバーやメインフレーム等の領域をカバーするポジションに立つ。一方、同じIAアーキテクチャのPRIMERGYに関しては、タイムトゥーマーケットとコストに敏感なユーザーに幅広く展開し、棲み分けを図るという。

富士通のサーバー製品のなかでのPRIMEQUESTの立ち位置

 また、同日Xeon 7500を採用するハイエンドIAサーバー「PRIMERGY RX600 S5」も発表された。Xeon 7500番台搭載のブレードサーバーも2010年7月以降に登場する予定となっている。

インテルとの密接な協業で
Xeon 7500と同日出荷を実現

 今回のPRIMEQUEST 1000はインテルとの特に密接な協業を行ない、システム仕様の検討やデバッグ、品質確認などを共同で行なったという。「まったく同じモノをインテルの本社にも置いて、共同でデバッグした。これにより検証に時間のかかるミッションクリティカル領域の製品でありながら、Xeon 7500と同時出荷が可能になった」(河部本氏)という。

 Xeon 7500の説明会を終えたばかりのインテル代表取締役社長の吉田和正氏も挨拶に顔を出し、「1995年のPentiumProを出した時代から、技術、マーケティング、パートナーシップなど、多方面に渡って協力してきた」と同社との長年のパートナーシップについて説明。Xeon 7500の採用による性能や消費電力の高さをアピールした。

インテル社長の吉田和正氏(左)と 富士執行役員常務の佐相秀幸氏(右)

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