日本ヒューレット・パッカードは「BLADE 3.0」などのキャッチフレーズで積極的なブレードサーバーのキャンペーンを展開している。自社のデータセンター統合のために必要な機能を盛り込んで作られたBladeSystem c-Classの特徴を見てみよう。
本記事はネットワークマガジン 2007年12月号掲載の特集記事に一部加筆修正して転載したものです
HP自身の情報システムを支える ブレードサーバー
ヒューレット・パッカード(以下、HP)は、2002年にコンパックコンピュータと合併し、世界でもトップクラスの規模を誇るコンピューター関連製品のベンダーとなった。コンパックがデジタル・イクイップメント(DEC)やタンデムなどと大規模な合併を繰り返してきたため、結果的にHPは各社が持っていたさまざまな技術や製品、ITリソースを引き継ぐことになった。2002年の時点で世界中に300ものデータセンターを所有していたという。そこで、HPは情報システムの改革を進め、大規模なデータセンターの統合を実施した。2004会計年度には85カ所に、2007年末には米国内の3カ所に2つずつ、合計6カ所のデータセンターへと集約できた。
急速な統合を実現するために、HPのIT部門が必要な機能を選び、生み出したのが「HP BladeSystem c-Class」だ。
2002年、HPと合併する前のコンパックが最初に市場に投入したブレードサーバーは、発熱量を抑えるためにモバイル用のCPUを搭載した、もっぱらスケールアウトによるサーバー強化を目指したものだった。そのため、ユーザーはインターネットサービスプロバイダーが中心で、用途は限られていた。
続いて、サーバーの集約を目的にした、汎用的な機能を持つ第2世代のブレードサーバーが登場した。第1世代よりもサーバー単体のサイズは大きくなったが、内部にラック型サーバーと同等のCPUやメモリー、ストレージをコンパクトにまとめることで、効率的なサーバー統合の実現を目指した。
そして現行のBladeSystem c-Classが登場した。HPのブレードサーバーとしては第3世代にあたり、HPはこのラインナップを「BLADE 3.0」と呼んでいる。
BLADE 3.0とは
BLADE 3.0という呼び名は、Web 2.0などの流行にのったバズワードではない。第2世代がサーバーの統合を目指していたのに対し、第3世代ではストレージやネットワーク機器を含めたシステム全体を統合するためのプラットフォームになった。BladeSystem c-Classにはサーバーブレード以外に、HDDやバックアップ用のテープドライブ、拡張スロットを増設するための「ブレード」が用意されている。つまり、ブレードサーバーだけでシステムを構築できるのだ。
BladeSystem c-Classのエンクロージャーは、サーバー以外の機器を搭載するために、前世代とは接続の仕組みが大きく異なる。一般にブレードサーバーはエンクロージャー内の「バックプレーン」によって相互に接続されている。サーバー接続だけを想定した第2世代ブレードサーバーのバックプレーンはギガビットEthernetなど、比較的低速の信号しか流すことができない。これに対して、第3世代ブレードサーバーのバックプレーンは、SAS(SerialAttached SCSI)やPCI Expressといった高速信号を伝送でき、ストレージユニットなども接続できる。
(次ページ「用途に応じた2種類のエンクロージャー」に続く)