本当は恐ろしい? UPSなしのパソコン生活
というわけで、雷や停電のときにあると安心のUPSだが、一方で「業務向け」「オフィスに置かれるもの」というイメージを持っている人もいるかもしれない。実は筆者もそう思っていた一人だが、多数のデジタル機器を抱えるようになって考えを改めるようになった。
たとえば自宅にあるアップルのNAS機能付き無線LANルーター「Time Capsule」には、FTTHのモデムや電源ケーブルが繋がっているので雷サージの被害にさらされやすい。特にHDD内には過去の原稿や写真が一括でバックアップされており、これが壊れてしまうのは非常に困る。
筆者の自宅におかれた「Time Capsule」。ルーターとNASの両方の役割を果たしているので、これが壊れてしまうのは一大事だ |
またデスクトップパソコンでは、仕事で用いる動画のエンコードを実行している機会が多い。数時間かかることもあるエンコードの途中にいきなり瞬時停電が発生して、データが「おじゃん」になってしまうというのは避けたいところだ。
「私も昔、データを飛ばしたことがあるんです」
そう言ったのは、冒頭のビデオで解説をお願いした、声優として活躍中の山口立花子さん。
「ハプニングのときにUPSがあると便利ですよね」 |
「Illustratorで資料を作っていたときに、コンセントを足に引っ掛けて3時間作業したデータをすべて飛ばしてしまったんです。停電じゃなくても、そういうハプニングのときにUPSがあると便利だなぁ……」
電子レンジやエアコン、ドライヤーなどの電気機器を同時に使った場合にブレーカーが落ちる経験をした人は多いだろう。また夏には自宅周辺で同時多発的に大量の電力を使う機器を起動することによって、定格電圧である100Vを下回る「電圧降下」が発生することもある。これにパソコンが敏感に反応すると、電源が切れてしまう。
山口さんもボイスサンプルの台本などを作るために、毎日パソコンを使っているとのこと。そんな大切なデータを扱うパソコンだからこそ、万が一のときも作業をムダにせずに、システム終了できるUPSがあると安心できるはずだ。
「APC RS 550」の魅力その1
家庭やSOHOで使うのにちょうどいい端子数
ここからは今回ピックアップした「APC RS 550」の魅力を詳しく見ていこう。
APC RS 550に注目した理由はいくつかある。まずは端子が十分に用意されていること。背面に用意された6つのコンセントはいずれも雷サージ対策が施されている。このうち左側にある3つはトラブル時に内蔵バッテリーに切り替わる「バックアップコンセント」だ。さらに電話/ネットワーク回線を保護する端子も2つ搭載。外部に繋がっている電話線などを繋いでおくと、雷サージの侵入をガードできる。
APC RS 550の背面。左側3つがバッテリーで動作するバックアップコンセント、右側3つがサージ保護のみのコンセント |
パソコンを落とすと同時に周辺機器の電源もオフにするという省電力機能も備えている。パソコンは左上にある「マスタコンセント」に接続。右上の2つのコンセントは「マスタ連動コンセント」になっているのでプリンターやスピーカーのようなパソコンの周辺機器をつないでおけば、パソコンに連動して自動的に電源が切れる。
「端子の数とか、周辺機器の電源に連動するところが、パソコンで使うのに合ってそうですね」(山口さん)
そう。家庭やSOHOで使うのにピッタリというのがひとつ目のポイントだ。
事前に動作時間を調べよう
UPS選びでひとつのポイントとなるのは、バッテリーの動作時間だ。この時間は、UPSにつなぐ機器の「W」(ワット)と「VA」(ボルトアンペア)で調べられる(参考サイト)。
APC RS 550のバッテリー動作時における最大定格出力は、3つのバックアップコンセントを合わせて330W/550VA。たとえば機器の合計値が150W/250VAのときは約12分、300W/500VAのときは約3.1分の動作が可能だ。
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