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Windows Serverで学ぶサーバOS入門 第24回

Active Directory証明書サービス(AD CS)を使うには?

Windows Serverを認証局にしよう

2010年07月13日 06時00分更新

文● 横山哲也/グローバルナレッジネットワーク株式会社

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証明機関Web登録の構成

 必要な証明書を自分で発行できるようにするには「証明機関Web登録」を構成するのが便利だ。Windows Server 2003以前と異なり、証明機関Web登録の利用にはSSLが必須となった。そのため、以下のいずれかの手順が必要になる。

(1)自己署名証明書を構成

 Windows Server 2003ではIISのリソースキットに付属していた証明書作成ツールが、Windows Server 2008のIISでは標準機能となった。ただし、この方法は「信頼されないルート証明機関が発行した証明書」とみなされるため、Webブラウザが警告を出す(画面15)。広範囲に使うことはお勧めしない

画面15●ルート証明機関が信頼できない場合の警告(IE7)

(2)商用証明書を構成

 インターネット上のSSLでは一般的だが、費用と時間がかかるため社内システムにはあまり使用しない

(3)プライベート証明書を利用

 社内システムで一般的な証明書。社内で利用する場合、信頼性も十分あり、コストもかからない

 グループポリシーを構成して取得したコンピュータ証明書は、SSLに使うこともできる。証明書がすでにインストールされている場合、SSLの構成は以下の手順で行なう。

  1. 管理ツールから「インターネットインフォメーションサービス(IIS)マネージャ」を起動し、Webサーバを選択して「サーバ証明書」をダブルクリック(画面16)
  2. 画面16●インストールされているサーバ証明書を確認

  3. コンピュータ名の証明書がインストールされていることを確認
  4. Webサイト(既定では「Default Web Site」)を選択して、右側のアクションペインから「バインド」リンクをクリック
  5. 既定ではHTTPのみが利用可能なので「追加」をクリック(画面17)
  6. 画面17●規定で「http」のみがバインド。SSLを有効にするため、「追加」をクリックする

  7. 「種類」として「HTTPS」を選び、ポート番号が443に変わったことを確認(画面18)。インストール済みのSSL証明書を選択し「OK」をクリック
  8. 画面18●「https」を選択し、SSL証明書を指定

 以上で設定は完了だ。なお、証明書が表示されない場合は証明書のインストールに失敗している。

証明書の発行

 CAのインストールが完了したら証明書を発行する。一般的なのはWebインターフェイスを利用する方法だ。

  1. IEで「https://CA名/certsrv/」にアクセスし、「証明書を要求する」をクリック(画面19)。
  2. 画面19●管理画面にアクセス。HTTPでは接続できないので注意したい

  3. リンク先の画面で「ユーザー証明書」を選択し、次の画面で「送信」をクリック(画面20)
  4. 画面20●ユーザー証明書を送信する。エンタープライズ証明機関の場合、現在ログオン中のユーザー情報が自動的に送信されるため、特別な情報入力は不要だ

  5. 証明書要求が行なわれるという警告に対して「はい」を選ぶ
  6. 証明書が発行されたら、「この証明書をインストール」リンクをクリック
  7. 証明書のインストールが行なわれるという警告に対して「はい」をクリック
  8. インストールが完了したのち、IEを閉じる

 ただし、グループポリシーで自動発行された証明書はFQDNで登録されるため、2種類の問題が生じる。1つ目の問題は、証明書に登録された名前がFQDNなのに、単一ラベル名(ドメインサフィックスを含まない形式)でアクセスした場合はアドレスバーが赤く変わり警告が表示されることだ(画面21)。この問題の回避方法は以下の3つのいずれかである。

画面21●証明書に登録された名前とURLのホスト名が一致しない場合

  1. 警告を無視して続行(セキュリティ上の悪習慣を強制するので推奨しない)
  2. 単一ラベル名の証明書を取り直してSSLの構成を変更
  3. 常時FQDNでアクセス

 2つ目の問題は、FQDNでアクセスすると「インターネットゾーン」とみなされ、ユーザー名とパスワードを入力する画面が表示されることだ。この問題の回避方法は、以下の3つのいずれかである。

  1. IEのインターネットゾーンのセキュリティ設定を変え、「現在のユーザー名とパスワードで自動的にログオンする」を有効にする(セキュリティリスクが高いので推奨しない)
  2. IEでドメイン名を「イントラネットサイト」として登録
  3. 単一ラベル名でアクセス

 以上で、証明機関の基本的な構成が完了した。

 次回は、ユーザー証明書の自動発行や自動アーカイブなど、Windows ServerとActive Directoryの便利な機能を紹介する。また、具体的な証明書の利用方法についても解説しよう。

 本記事は、ネットワークマガジンにて掲載していた連載をまとめたものです。連載の一部は弊社刊行の書籍「Windows Serverマスターガイド」にも収録をしております。

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 また、月刊アスキードットテクノロジーズでは、2010年3月号より本記事の執筆者である横山哲也氏による連載「Windows Server 2008 R2運用テクニック」を掲載しております。最新のWindows Serverの情報に関しましては、こちらもご覧ください。

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