Office 2010では、マルチコアCPU対応やGPUを使った表示アクセラレーション対応、さらに64bit版クライアントアプリケーションの提供など、パソコンのハードウェア環境の進化を大幅に取り入れている。
特集4回目では、これらOffice 2010の新ハードウェア対応について解説する。
マルチコアCPUへの対応 恩恵は大規模な表計算くらいか
Office 2007がリリースされた当時に比べると、CPUに内蔵されるコアの数は大幅に増えた。2007年当時、インテルではCore 2 Duoシリーズ、AMDならAthlon 64 X2など2コアのCPUが新製品の主流になりつつあったが、ユーザーが使用しているパソコンの多くはシングルコアCPU搭載がほとんどだった。しかし、CPUの進化はさらにCPUコア数を増やす方向に進んでおり、2007年の後半には、インテルもAMDも4コアCPUをリリースしている。
Office 2007の開発時期には、「マルチコアCPUへと移行していきそうだ」という感触はあっただろうが、本格的にマルチコアCPUに対応することはなかった。そこでOffice 2010では、全面的にプログラムコードを見直し、マルチコアCPUに対応するため、ソフトウェアのマルチスレッド化を進めている。
ただし、Word 2010やPowerPoint 2010などでは、マルチコアCPUに対応することで、ある程度パフォーマンスが向上しているのだが、劇的にというわけではない。文書やプレゼンテーションを作成したりする作業では、マルチコアCPU対応になっても、それほどパフォーマンスは上がらない。人間の方が遅いからだ。
マルチコアCPU化の恩恵を最も受けているのがExcel 2010だ。Excel 2010では、複雑な演算式やマクロが入ったセルをマルチスレッドで処理することで、計算自体を短時間で行なうことができるようになった。
Excel 2010の開発者ブログで公開されているデータによれば、セルの計算スピードはOffice 2007より高速化しているという。特定の演算式では、Office 2007の2倍以上のパフォーマンスを示している。
またExcel 2010では、ファイルの読み書きをマルチスレッド化することで、膨大なデータを読み込みながら、処理をすることが可能になった。これにより、データの読み込みが終了しなくても、読み込んだ部分から計算を始めていける。すべてを読み込んでから計算を始めるよりも、全体の処理が短時間で終わるようになった。
しかし、マルチコアCPU対応のメリットを味わえるのは、数GBにもなる巨大なワークシートや、複雑な計算式やマクロが使われているワークシートなどに限られるだろう。簡単な表作成にExcel 2010を利用している程度だと、マルチコアCPU対応のメリットはそれほど味わえないかもしれない。
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