GPUによりビジュアル表現の強化
Office 2010では、GPUのハードウェアを積極的に利用する改良も施された。表示の各部にDirectX 9を利用している。これにより、GPUの描画能力をOffice 2010自体で利用可能になった。
GPUサポートの恩恵を最も受けているのはPowerPoint 2010だ。PowerPoint 2010では、スライドの切り替え効果などにGPUが利用されているため、立体的に動く凝ったスライド切り替えを使っても、それほどCPUパワーは食わなくなった。スライド中のアニメーションなどにもGPUが利用されることで、CPU負荷を減らしている。画面の切り替えの種類も多くなったし、リボンメニューからライブプレビューが可能になっている(詳細は特集第3回参照のこと)。
もうひとつ、GPUを利用することで便利になったのが、ビデオの扱いだ。ビデオの再生にGPUが利用できるようになったので、WordやPowerPointなどの文書に入っているビデオを再生する場合も、CPU負荷が格段に小さくなっている。また、ビデオの再生支援には、DirectX 9の「DXVA」(DirectX Video Acceleration)が利用されているため、標準でサポートされているビデオフォーマット(AVI、WMV、MOV、H.264、MPEG-2)以外にも、サードパーティが開発したコーデックを利用することも可能だ。
PowerPoint 2010は、ビデオ関連機能が非常に強化されている。単にビデオを再生するだけでなく、簡単な編集やエフェクト処理などもできる。これができるようになったのは、GPUを利用することで、ビデオの処理負荷が軽くなったからだろう。
マイクロソフトがYouTubeで公開した、PowerPoint 2010とPowerPoint 2007のアニメーションなどの差を解説しているビデオ。GPUを利用するPowerPoint 2010の方が、アニメーションがスムーズ。
同じく、PowerPoint 2010で用意されているトランジションのデモビデオ。これだけ複雑なトランジションもスムーズ。Office 2007では、ビデオとスライドのトランジションは相当CPUの負担になるため、カクカクとしか動かなかった。Office 2010でスムーズに動くのは、GPU機能を利用しているからだ。
なお、Office 2010はDirectX 9ベースとなっているため、Windows XPでも動かせる。しかし、次期ウェブブラウザーのInternet Explorer 9では、GPUをさらに積極的に利用するため、Windows 7/Vista SP2以降が必須となっている。
もしかすると次世代のOfficeでは、DirectX 10以降がベースとなり、Windows 7/Vista以降でしか動作しなくなるかもしれない。XPで動作しなくなるのは残念だが、Windows 7で取り入れられた2Dグラフィックを高速に表示する「Direct 2D」や文字フォントを綺麗に表示する「Direct Write」などが利用できるようになれば、Officeもより綺麗な画面で快適に使えるようになるだろう。
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