5月18日、ジュニパーネットワークスは、独自のデータセンターアーキテクチャ「New Network」構想に対応したエッジルーター「MX80 3D」と10GbEスイッチ「EX4500」を発表した。
New Networkで階層構造をシンプルに
New Networkは、同社が2008年に発表し対応製品を投入している構想で、データセンター内のネットワークの
- 簡素化
- 自動化
- セキュリティ強化
の実現を大きな柱とする。
簡素化とは、3層構造やそれ以上になっているネットワーク構造の階層を縮小化すること。多くのデータセンターのネットワークは多層化してしまっているが、この状態にはコストの増大や柔軟性の低下、さらに不要なホップや遅延が増加するといったデメリットがある。さらに、ネットワークの冗長化に利用するスパニングツリーによって、最大50%の帯域が無効化されてしまうという。
こうした事態を解消するのが、New Networkの一環であり、EX4500などが搭載する「バーチャルシャーシ(Virtual Chassis)」技術による簡素化だ。
バーチャルシャーシは、複数の物理スイッチを1台の仮想的なスイッチとして扱う機能だ。同様の技術にスタックがあるが、これは複数のスイッチを専用ケーブルで接続するため、同一拠点に設置されたスイッチが対象となる。一方、バーチャルシャーシは、拠点内接続用の「VC(Virtual Chassis)ケーブル」による接続に加え、光ファイバによる接続にも対応する。これにより、遠隔地にあるスイッチを相互接続した構成も行なえる。
EX4500の相互接続の最大台数は10台で、この場合は480ポートもの10GbEインターフェイスを搭載するスイッチ群を1つの仮想スイッチとして運用が可能となる。
このように複数のスイッチをバーチャルシャーシによって束ねることで、管理対象となるスイッチの台数を減少させ、ネットワークの階層を2階層に簡素化できるわけだ。
ただし、同社の構想は2階層にとどまってはいない。簡素化に関して同社では「3-2-1データセンター・ネットワーク・アーキテクチャ」を提唱している。これは、ネットワーク構成を3層から2層、そして1層へと簡素化していくというものだ。現状で実現可能なのは2階層までだが、将来的にはデータセンターのスイッチを1つの論理スイッチとして運用・管理が行なえる1層ネットワークの実現を目標とする。これを同社では「Stratus Project」と呼んでいる。
(次ページ、「ネットワークを高度に自動化するJunos Space」に続く)