ここまでで、CPU、メモリ、マザーボード、ビデオカードとトレンドを振り返ってきたわけだが、次に紹介するパーツはストレージデバイスとなる。これまでストレージデバイスといえばHDD(ハードディスク)しかなかったが、ここ最近、話題の中心となっているのは何と言ってもSSD(Solid State Drive)。SSDはHDDに比べて容量が少なく、販売価格もまだまだ高価なものの、圧倒的なスピード(転送速度)を誇る要注目のストレージデバイスである。一方のHDDも昨今の値下がりにより非常にコストパフォーマンスが高く、また転送速度も地味ながら着実に向上中。まだまだストレージデバイスの主役として健在だ。
ここではHDD、SSD双方のメリット・デメリットをしっかりと把握して自分にあった最適なストレージ環境を選択するべく、2009年~2010年4月までのHDD/SSD事情について説明していきたいと思う。
大容量ストレージとしてまだまだ主役のHDD
SSDはNANDフラッシュメモリの書き換え制限の問題や、普及して間もないため長期使用時にどのような問題が出てくるのかいまだ未知数の部分も多い。その点、HDDは転送速度こそSSDにおよばないものの、大容量かつ安価で非常にコストパフォーマンスの優れたストレージデバイスで、まだまだ主役の座にあることは間違いない。
そんなHDDだが、これまで毎年、倍々で容量が増え続けていたのだが、2009年から2010年にかけて、最大容量は2TBをキープしたまま変化はなかった。今年中には2.5TBのHDDが登場するという噂レベルでの話はあるものの、未だ登場の気配はない。一方で、販売価格は着実に下落。当初約3万円で販売されていた2TBモデルも今では約1万2000円へと下がり、週末の秋葉原では特価品として1万円を切ったモデルも多々確認できる。
Serial ATAのインターフェイスが3.0に進化
さて最近のHDDを語るうえで外せないトピックとなるのが、SATA3.0(6Gbps)インターフェイス対応モデルの登場だ。実際にHDDの転送速度はSATA 2.0(3Gbps)の上限である300MB/sに達していないのだが、処々のベンチマークの結果ではキャッシュ内のデータにアクセスする際には300MB/sを超える速度を記録している。
このSATA3.0(6Gbps)インターフェイス対応モデルは、スペック上はSATA 2.0(3Gbps)対応モデルの上位に位置するため、実際にショップの価格表の前に立つと迷いが生じるかもしれない。多少大袈裟ではあるが、やはりまだまだ上級者向けモデルという認識で間違いはない。ここはやはりコストパフォーマンスに優れた、SATA2.0(3Gbps)接続の製品を選んでおくことをお勧めする。なお、言うまでもなく最近ではPATA(パラレルATA)ポート自体がないマザーボードも増えている。一部ショップで販売こそされてはいるが、いまさらPATAを選択する理由はない。
USB3.0の登場で転送速度はSATA並に!
もう一点、やはりストレージデバイスを語る上で外せないのが、USB3.0インターフェイスの登場となる。これまで一般的だったUSB 2.0の転送速度は実測で最大40MB/s程度とSATAで接続した場合の1/3程度のスピードだったのはご存知の通り。しかし、USB3.0では実測で120MB/sを超え、SATA接続時とほぼ変わらない転送速度が可能になったのだ。
すでにお伝えした通り、最近ではUSB 3.0対応のマザーボードも増えており、対応の拡張カードも約3000円~4000円前後で購入が可能。それに伴いUSB3.0対応ケースやHDDクレードルといった関連製品も、続々発売となっている。せっかくマザーボードにUSB3.0ポートがあるのなら、利用しない手はないだろう。
なお、ストレージデバイスという意味ではUSB3.0に対応したUSBメモリフラッシュなども発売されている。前述のように転送速度は非常に高速で魅力的な製品ながら、まだまだUSB2.0対応の製品に比べるとはるかに高価だ。大人しく値下がりを待つ以外は、今のところ財布に余裕がある人向けのアイテムといえる。
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