HDD選択のポイント
さて、一通り最近のHDD事情をおさらいしたところで、いよいよ実際に購入となる。HDDに限った話ではないのだが、ほとんどの場合、店頭もしくはウェブサイトにある価格表(スペック)を見て選択することになる。その際、容量はもちろん、メーカーや回転数、キャッシュ容量、プラッタ容量等の違いにより、同じ容量でも何種類ものHDDが販売されていることがわかるはずだ。
ショップごとに記載されている内容や表記方法に違いはあるものの、基本的に重要なポイントは先にあげた点。これらの内容の意味が分からないと、何に注目し、どのHDDを選んでいいか悩んでしまうことになる。そこでここでは、価格表に載っている主なスペックの意味について解説していきたい。価格表の意味を正しく理解し、自分の環境にあったモデルを購入出来る手助けになればと思う次第だ。
なお、HDDには一般的な3.5インチサイズのほか1.8インチや2.5インチサイズのものがある。とはいえ、今回は自作初心者/出戻り組の人に向けた特集ということで、デスクトップPCで主に使用する3.5インチサイズのHDDに絞って説明していきたい。
ポイント1「回転数による違い」
HDDでまず重要になるのが回転数だ。一部モデルでは回転数非公開のものや、回転数可変などというモデルがあるが、ほとんどの場合、主に7200rpmの高速タイプと5000rpm台の低速/低発熱となる2タイプに分類される。
OSの起動やアプリケーション用として高速な7200rpmのモデルを選択すると、比較的5000rpm台のモデルよりは体感速度はあがる。逆にデータ用でスピードにこだわらない場合や発熱などを少しでも気にする場合は5000rpm台のモデルがおすすめとなる。
余談だが、Western Digitalからは10000rpmを超える超高速タイプで特にランダムアクセスが高速な「VelociRaptor」というモデルが販売されている。容量こそ150GB~300GBと他のモデルと比較して少なく、また販売価格も1万5000円前後(150GBモデル)と高価なのだが、SSDをあえて選択しないベテラン自作ユーザーの一部が好んで選択するモデルだったりもする。
ポイント2「プラッタ容量による違い」
HDDはプラッタと呼ばれる円盤状の金属ディスクにデータを書き込むことで情報を保存するような構造となっている。このプラッタの容量が増え、記録密度が高くなると、データを読み取るためのヘッダの移動距離が減るため、結果として転送速度が上がることになるわけだ。さらに、プラッタ容量が増えて全体のプラッタ枚数が減ると、消費電力と発熱も少なくなるというメリットもある。
例えば、同じ容量500GBの製品でも、1プラッタ250GBの2枚で構成されるモデルと1プラッタ500GBの1枚で構成されるモデルとでは、当然ながら後者の1プラッタ500GBモデルのほうが高性能な製品ということになる。もちろん価格も1プラッタ250GBモデルよりも高価となるが、実売では数百円~1000円程度の差となる場合がほとんどなので、購入するなら1プラッタあたりの容量が多いモデルを選択するとよいだろう。
ポイント3「キャッシュ容量による違い」
HDDには読み書きするデータを一時的に保存しておくための高速なメモリであるキャッシュが搭載されている。このキャッシュには、OSのシステムファイルなど、頻繁に使用されるデータが保存され処理速度を速める効果があり、一般的なモデルでは16MB~32MB程度。ただ、最近では64MBと大容量のキャッシュを搭載しているものも増えてきている。パフォーマンスを優先したい場合はキャッシュ容量が少しでも多いモデルがオススメとなる。
ポイント4「メーカーによる違い」
かつてはたくさんのメーカーが乱立していた3.5インチサイズのHDD市場も、現在ではHGST(日立グローバルストレージテクノロジーズ)、Western Digital、Seagate、SAMSUNGの4社に絞られている。以前はメーカーによって発熱やアクセス音に違いがあり、偏ったメーカーやモデルが売れることも多かったのだが、今となってはそういうことはない。また、同容量で似たようなスペックのものが、メーカー間でかなりバラツキのある価格設定となっていることも多い。どうしても分からない場合はショップスタッフに相談するというのも有効な手段だが、特にメーカーにこだわりが無いのであれば予算と相談して決めてしまって問題ないだろう。
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