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池田信夫の「サイバーリバタリアン」 第112回

「電波鎖国」したら日本の携帯は立ち直れない

2010年04月07日 12時00分更新

文● 池田信夫/経済学者

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総務省は「空きそうな周波数はない」というが……

 いま総務省周辺では、先週も取り上げたSIMロックの問題が盛り上がっているが、その陰に隠れてもっと重要な決定が行なわれようとしていることを見逃してはならない。

 情報通信審議会は4月5日、「700/900MHz帯移動体通信システム作業班」の会合を開き、作業班の検討結果を了承した。国内メーカー6社は連名で「周波数は700/900MHzをペアで使うことが望ましい」と回答したが、クアルコムら外資系メーカー4社は「周波数の国際協調がなければ端末コストが上がり、通信サービスも衰退する」と批判した。

 これに対して総務省側の事務局である電波産業会は「どのシステムも十分利用されている」「廃止や移行の予定はない」と述べ、「空きそうな周波数帯はない」と結論した。各キャリアもこれを承認し、「大がかりな再編をするより、なるべく早期に割り当ててほしい」と要望したという。

 この背景には、各社のサービスが高速化して多くの帯域が必要になるため、少しでも早く周波数の割り当てを決めて基地局の手当をしなければならないという事情がある。特に重要な700MHz帯は今のところ40MHzしか空いていないため、この帯域に電波をもっていないソフトバンク、イー・モバイル、UQコミュニケーションズの3社が少しでも早く割り当てを受けようとしているようだ。

日本とAWFの700MHz周波数計画案

 しかし、本当に「空きそうな周波数帯はない」のか。上の図でもわかるように、実は空いている周波数は710~806MHzの96MHzもある。特に36MHzも占拠しているテレビ局のFPUは、マラソン中継ぐらいにしか使われていない。これを「どのシステムも十分利用されている」というのだろうか。

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