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頻繁な法改正が自治体クラウドの起爆剤へ

日立グループが自治体クラウド「SUSTINAD」始動

2010年03月29日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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3月26日、日立製作所は自治体向けのクラウド事業に関する発表会を開催した。日立グループ全体の自治体クラウドブランドとして「SUSTINAD(サスティナード)」を掲げ、おもにバックオフィス系の業務をSaaSやクラウドコンピューティング形態で提供する。

自治体へのクラウド移行は
待ったなし!

自治体向けクラウドを解説する日立製作所 情報・通信システム社 公共システム事業部 全国共通ソリューション本部 担当本部長 福岡康文氏

 自治体向けクラウドについて説明した日立製作所の福岡康文氏は、まず現在自治体が抱えているITの課題について解説。人口規模の小さいところはITコストの負担が大きいこと、近年法改正が頻繁にあること、そして個人情報を扱うにあたって必須のセキュリティ対策が難しいことなどを挙げた。これに対して、クラウドコンピューティングの台頭と、自治体向けのクラウドの標準化・共同化の動きが進みつつあり、今後市場への拡大が見込まれるという。

 特に後期高齢者医療制度や定額給付金、そして来たる住民税の特別徴収や改正住基法など立て続けの法改正は、自治体のIT対応の大きな負担になっているようだ。この結果、業務の標準化とともに、柔軟性の高く、コストの低廉なクラウドへの移行が進むという。特に20万人未満の中小規模の自治体が、クラウド移行を積極的に進め、「2015年には1000団体がクラウドに移行すると考えている。市場規模も850億円規模になる」(福岡氏)と強気の見立てをしている。

自治体の課題とクラウドへの流れ

 こうした自治体クラウドに関して、日立グループ全体でアプリケーション開発や拡販などを進めていくというのが、今回の発表の趣旨。今まで各社で行なっていた自治体クラウドの取り組みを、今後は日立グループ全体でまとめ、「SUSTINAD」(Sustinable(持続可能な)とAdministration(行政))というブランド名のサービスとして提供する。また、グループ各社の担当者を集めてノウハウ共有や人材育成を行なう「自治体クラウド推進センタ」を設立する。

 具体的には日立製作所、日立情報システムズ、日立公共システムエンジニアリングの3社でアプリケーション開発やサービスの共同運用を行ない、日立システムアンドサービスと日立情報システムズなどを加えて全5社でサービスを展開するという。

 当初は住民窓口、税、教育、選挙、保健医療・福祉、環境・衛生、農業、建設情報、公営企業、内部事務、共通などのバックオフィス系業務を中心に展開し、サービス自体はSaaS型の「SUSTINAD/SaaS」、共同利用型の「SUSTINAD/Share」、プライベート型の「SUSTINAD/Private」の3形態で提供される。導入メリットとしては、自治体の個別要望をパラメータ調整で吸収したり、移行ツールの活用により、導入期間が約50%短縮することが挙げられる。また、複数自治体でITリソースを共有することで、約30%のコスト削減を実現。さらに堅牢なデータセンターでの運営により、個人情報を扱う自治体業務で必須の高いセキュリティも実現するという。

 販売目標としては、2015年まででシェア3割の300自治体を見込んでいる。

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