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あなたの知らないWindows 第39回

独自の検証と改良でWindows 7の性能向上に挑むレノボ

2010年11月11日 12時00分更新

文● 山本雅史

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ThinkPad X201 Tablet

「Lenovo Enhanced Experience」により、ThinkPadは独自にカスタマイズされたWindows 7を搭載している(写真はThinkPad X201 Tablet)

 「ThinkPad」ブランドのノートパソコンでお馴染みのレノボでは、同社のパソコンでWindows 7を動かすときに、「Lenovo Enhanced Experience」(以下Lenovo EE)と呼ぶ独自の取り組みにより、システム全体のパフォーマンスを高めている。レノボの製品の中でも、「ThinkPad」「ThinkCentre」ブランドのビジネスユーザー向け製品と、「IdeaPad」ブランドのコンシューマー向け製品に、Lenovo EEの成果が盛り込まれている。

 Lenovo EEがどのような仕組みでパフォーマンスを高めているのか、その仕組みについて、レノボ・ジャパン(株)にてLenovo EEの開発に携わる柴谷淳治氏にお話をうかがった。

快適さ向上のために
細かな検証と改良を積み重ねるレノボ

Lenovo EEは特殊なソフトではない

Lenovo EEは特殊なソフトではなく、OSやドライバーなどの細かな改良を積み重ねた改良である(スライドはレノボ資料より引用)

OS起動が高速化されている

地道な改善により、Windows 7搭載製品ではOS起動が高速化されている

 Lenovo EEにより、ThinkPadはパソコンの起動時間で業界トップクラスの性能を実現している。レノボのデータでは、Lenovo EE導入後には起動時間が57.3%、システム終了時間は39.7%も高速化されているという。このようなパフォーマンスの向上は、どういったテクノロジーで実現しているのだろうか?

 柴谷氏はこれを、地道なチューニングによるものと言う。「Lenovo EEとネーミングしていますが、何か特殊なソフトウェアをインストールすることで、パフォーマンスが向上しているわけではありません。実は、地道なチューニングの結果なのです」

Lenovo EEはこうした改善の積み重ねで実現している

OS起動時間短縮のために、いくつもの改善を組み合わせる。Lenovo EEはこうした改善の積み重ねで実現している

 例えば、Windows 7の起動時間を短縮するために、起動時のCPU使用率をチェックして詳細に解析すると、起動直後にCPUが長時間停止していることがわかった。これは、OS起動時(特にBIOS)にストレージコントローラーへの不必要なアクセスが頻発して、CPUが長時間停止するためだ。

 そこでレノボでは、BIOSとドライバーを改良してインタフェースを最適化した。BIOSの改良はレノボだけでできる。しかし、ドライバーの改良に関しては、レノボ以外にドライバーを提供しているコンポーネントメーカーや、マイクロソフトの協力が必要になる。そこでレノボでは、様々なデータを示して各社に協力を仰ぎ、ドライバーの改良を粘り強く訴えることで、ドライバーの改良を実現した。

 この結果、OS起動直後にあったCPUの停止状態を解消して、ドライバー類の起動を前倒しできた。この改善により、OSの起動時間が約21秒も短縮されたという。

21秒もOSの起動時間が短縮

CPU使用率を分析して、BIOSとドライバーの改良により、21秒もOSの起動時間が短縮された

 また別の改善点では、Windows 7上で動くサービスの起動状況を分析して、最適化を行ない、OSの起動完了までの時間を短縮している。サービスの起動する順序を組み替えることで、不必要なサービスの起動を遅らせたり、必要になったときにサービスを起動することで、OSの起動時間の短縮を図っている。

サービスの起動状況を分析して再構成することで、適切なタイミングにサービスを起動させる。これでOSの起動時間が9秒短縮

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