Windows 7対応の裏側に見た国内ISVの秘めた実力 第13回
工画堂スタジオ「ソルフェージュ~La finale~」
老舗PCゲームメーカーの矜恃――Windows 7ロゴ取得の裏話
2010年03月30日 09時00分更新
Windows 7ロゴを取得した目的とは?
―― 今回、Windows 7ロゴを取得された理由は何ですか?
谷 このソフトがWindows 7の発売時期と近かったので、営業戦略的に対応したほうがいいだろうとは考えていました。そうした中で、マイクロソフトのほうからも「ロゴ対応しましょうよ」という話が持ちかけられたので、決断しました。今回はマイクロソフトさんの対応も期待以上だったので、ロゴを取得しやすいという印象を受けました。
―― ロゴ取得にはテストにパスする必要があると聞きましたが?
斎藤 テストプログラムを自分たちで実行して、その結果をマイクロソフトに送る必要があるのですが……。実際にやってみると、テストプログラムのバージョンアップが頻繁で、例えばドキュメントの更新が追い付いていなくて、最初は苦労しました。マイクロソフト主催のセミナーに参加して、ようやくなんとか、という状態になりました。
―― PCゲームメーカーとして、Windows 7の新しい機能に興味ありますか?
斎藤 新しい機能――例えば“マルチタッチ”などには興味はあるのですが、PCゲームというカテゴリーだと、まだすべてのユーザーが使えるわけではなく、また生かせる製品やジャンルも限定されますね。ですから、開発者としては興味があるのですが、使うとしてもメイン機能というより、個別製品での追加機能として試しに実装してみるといったことになるかと思います。
―― 開発ツールは現在、何を使っているのですか。
斎藤 実はクロネコさんチームでは、過去の経緯や積み重ねたノウハウなどもあって、BorlandのC++ Builderを使っています。VisualStudioにも興味はあるんですが、長い間の経緯があるので、すぐに変えるというわけにもいきません。我々としては、DirectXが動けばなんとかなるので、そのままにしています。 こうしたアドベンチャー系のゲームソフトは、シナリオを中間言語で記述して、これをエンジンで動かすという構造になっています。なので、エンジンさえ移植できれば、なんとかなるわけです。当社では、チームごとに独自のエンジンを持っているので、開発環境もチームごとに違っています。
―― 斎藤さんは“くろねこさんちーむ”に所属とのことですが、現状では何チームぐらいあるのでしょうか?
谷 開発チームはメンバーごとに区分けするのではなく、ゲームのカラーで分けています。例えばくろねこさんちーむは1998年に結成し、1999年の「リトルウィッチ・パルフェ」がデビュー作です。当時の当社の中心は、「PowerDoLLS」とか「シュヴァルツシルト」などのタクティカルなシミュレーションゲームで、これを“うさぎさんちーむ”が担当していました。
くろねこさんちーむは主にキャラクター要素の強いゲームを担当していて、それまでの工画堂のカラーとはかなり違ったため、別ブランドとしてくろねこさんちーむを新たに作ったわけです。さらにしばらくすると、うさぎさんでもくろねこさんでもないカラーのソフトが出てきて、ちーむがさらに増えることになります。
ですが、ちーむごとにスタッフが完全に分業・独立しているのではなく、例えば同じ開発者が複数のちーむに所属しているということもあります。各ちーむの活動状況はWebサイトでも報告していますので、よろしければご覧ください。
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