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Windows 7対応の裏側に見た国内ISVの秘めた実力 第9回

メガソフト「3Dマイホームデザイナー LS3」

好きな家を何軒も!使いやすさ追求の住宅建築シミュレーション

2010年03月04日 08時00分更新

文● 池田圭一

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メガソフト「3Dマイホームデザイナー LS3」のパッケージ

メガソフト「3Dマイホームデザイナー LS3」のパッケージ

 Windows 7対応アプリケーションをいち早く展開したメーカーに、ノウハウや開発のポイントを聞く開発者インタビュー。今回は、建築の専門知識がなくても建てたい家のイメージを間取りやパース、3D(立体)イメージでシミュレーションできる「3Dマイホームデザイナー LS3」のメガソフトを訪れた。

 Windows 7で新たに実装されたマルチタッチや、センサー&ロケーション機能は、3Dソフトの世界にも革命を起こそうとしている。ゲーム以外で3D表示が最もユーザーにメリットをもたらすのは、自分の住みたい家のイメージを、建てる前に確かめられる住宅建築ソフトの世界だろう。3Dマイホームデザイナーが目指す到達点は、どこにあるのか?

 今回は、メガソフトの開発拠点となる本社(大阪・吹田市)と東京事務所を電子会議システムで結んでのインタビューとなった。インタビューに応じていただいたのは、コンシューマー製品部3Dグループ3Dマイホームデザイナープロデューサーの津田 格氏と、同チーフプログラマーの平井文子氏、販売推進部 PR担当の西脇 功氏だ(以下、敬称略)。

使いやすさを第一に考えた3Dマイホームデザイナー

―― まずメガソフトと、3Dマイホームデザイナーについて教えてください。

メガソフトのプロデューサー津田氏とチーフプログラマーの平井氏

大阪の本社から電子会議システムでインタビューに応えていただいた、メガソフトのプロデューサー津田氏(左)とチーフプログラマーの平井氏

西脇 弊社はCP/M用コンパイラの開発からスタートし、その後テキストエディタ「MIFES」や、ファクスソフト「STARFAX」で一世を風靡しました。Windows 95が登場してPCが一般家庭にも普及するようになると、よりコンシューマー向けの製品として「3Dマイホームデザイナー」を手がけ、現在はこちらが主力製品となっています。

津田 3Dマイホームデザイナーには現在、これから家を建てようという個人の施主さま向けの「3Dマイホームデザイナー LS3」と、住宅設計士や工務店、中小のハウスビルダー向けの「3Dマイホームデザイナー PRO6」があるのですが、マンション建設が伸びない住宅不況の現在においても、おかげさま順調に販売できていて、特にプロ向けをよく使っていただいていますね。

 一方で個人施主さま向けには、まだまだ普及の余地があると思っています。PCをお使いの方は持ち家に興味・関心が薄いのかもしれない、逆に、これから家を作ろうという方が必ずしもPCに詳しいとは限らないという点では、宣伝媒体を選ぶのに苦労しています。プロ向けであれば、業界誌にアピールできるのですが。

「3Dマイホームデザイナー LS3」の画面。左は間取り図(2D)モード、右は立体的に外観や内部(ウォークスルー)を確認できる3Dモード

―― 家庭向けとプロ向けの一番の違いや、アピールポイントはどういう点ですか?

津田 一番のアピールポイントは、家庭版・プロ版ともに「使いやすさ」を主眼に開発したことです。3Dソフトは、どうしても(初心者に)とっつきにくい、扱いにくいといった印象を持たれてしまうのですが、3Dマイホームデザイナーは使いやすさを第一に考えています。

平井 家庭版とプロ版をまったく別に開発しているわけでもありません。もちろん、プロ版の方が機能は豊富なのですが、どちらも「使い勝手のよさ」を目指していますので、ユーザーインターフェースなどは共通になっています。

津田 プロのお客様が3Dマイホームデザイナーを求められる場合は、プレゼンテーションまでの時間が少ないということが多く、そのようなときに役立てていただけるように配慮しています。最初から扱いやすければ、操作などを覚えていただく時間を短縮できます。そこを高くご評価いただいていると思っています。


あくまでも、顧客にターゲッティングした
パッケージとして

3Dマイホームデザイナーを使って設計した家

3Dマイホームデザイナーを使って設計し、実際に建てたという家。左が3Dマイホームデザイナーの3Dモードでの画面、右が実物の外観写真だ

―― 利用者から、こういったところがよかったといった意見は?

平井 プロ向けでは、やはり「気軽に使えるところ」だと、おっしゃっていただいています。細かくプランニングした上で作り始めなくても、パーツを並べていけばレンダリングしてくれます。気軽に使えて結果がすぐに得られる、というところですね。

津田 家庭向けでは、さまざまなお客様がいらっしゃいます。建築業者と具体的な話をする前に、3DマイホームデザイナーでPCの中に、何軒もの家を建てられた方もいます。気に入ったモデルができてから建築業者に相談されるのでしょうね。

 また、家を建てると決めてモデルハウスを見に行って業者から間取り図をもらってから、実際のイメージをつかむために3Dマイホームデザイナーを使ってみたというお客様もいらっしゃいます。実際にこういた感じになるという、視線や動線、住み心地の確認などに使われるのでしょうね。「事前に確認ができてよかった」、と感想をいただいています。

―― 建築事務所や設計士へのサポート体制はありますか?

西脇 特定のハウスメーカーにお客さまを紹介するということありません。プロ向け製品は、業務用パッケージソフトとしてはそれほど高額ではありません(5万400円~)ので、教育サポート付きというわけではないのですが、全国に建築士育成の教室を持っていらっしゃる会社と提携して、公認セミナーを展開しています。

 また、フォローアップということでは、3Dマイホームデザイナーへの追加機能として、“省エネ住宅”への対応、日照や耐震強度の算出、階段の傾斜などのチェック機能を用意しています。

―― 学校関係への導入はいかがでしょう?

学校向けに納入したエディション。画面は白川郷の合掌造りの間取り図を取り込んでいる

西脇 専門学校や大学の建築科で使っていただいています。最近では中学校の家庭科の授業で使われるケースも増えてきました。家庭科の教材として、例えば白川郷の合掌造りの家や、京町家の住宅を3Dモデルで作り、建物の構造を見せたり、ウォークスルーができるようにしたスクールパックを販売しています。

津田 通常のパッケージには、500点以上のサンプル間取りを収録しています。3Dマイホームデザイナー LS3は、純粋に家を建てられる個人のお客さまに向けたものですから、実際に家を建てるときの参考になるような、実用的な間取りをそろえています。

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