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Windows 7対応の裏側に見た国内ISVの秘めた実力第14回

フォトロン「図脳RAPID 16/16PRO」

すべての図面利用者に普及を! 最新国産CADの開発秘話

2010年04月22日 09時00分更新

文● 塩田紳二

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図脳RAPID 16/16PROのメイン画面
「図脳RAPID 16/16PRO」のメイン画面

 今回はCADソフト「図脳」シリーズで知られるフォトロンを取材した。業務用カメラから画像解析、画像編集・合成まで、画像に関わるハードウェアとソフトウェアを幅広く扱う企業だが、PC用CADソフト「図脳」シリーズも同社が独自に開発したものだ。

 CADソフトと一口に言っても、建築系から機械や電子回路の設計まで、さまざまなものがあり、また最近はシミュレーターなどの追加機能と組み合わせた大規模な製品もある。大きく分けるとメインフレーム由来のものと、最初からPC向けに開発されたものがあるが、1980年代以降のPC普及とともにPC用CADが急速に拡大した市場だ。

 フォトロンの最新CADソフトはPC向けの「図脳RAPID 16/16PRO」。だが、最初の製品が登場したのは実に27年前――つまりMS-DOS時代から続く、国内CADソフトの老舗メーカーなのである。話を伺ったのは、事業推進室長の中村正志氏、CADソリューション部開発グループ長の権藤浩喜氏、CADソリューション部企画担当の菊留浩史氏のお三方だ(以下敬称略)。


PC-98用の高速グラフィックスボード対応CADも!
図面に関わるすべての人が利用できる低価格を

―― まず、御社の概要について教えてください。

事業推進室長の中村正志氏
事業推進室長の中村正志氏

中村 当社は、画像にこだわった独創技術の会社です。基本的には画像や映像に関わるものを扱う企業です。大きく分けると、イメージング事業、エンジニアリング事業、プロフェッショナル映像事業などがあります。

 イメージング事業は、ハイスピードカメラ(高速度撮影)を中心にしたビジネス、そして今回の主題であるCADソフトなどがエンジニアリング事業です。また、プロフェッショナル映像では、放送局向けのサーバーやファイルベースのソリューション、またポスプロ向けの機器などを扱っています。そのほかに、教育市場向けのeラーニング関連のビジネスや医療関係の動画像のビジネスがあります。

 中でもCADソフトは、当社で古くから行なっているビジネスのひとつです。

―― 図脳シリーズには、かなり長い歴史がありますね?

CADソリューション部企画担当の菊留浩史氏
CADソリューション部企画担当の菊留浩史氏

菊留 最初のバージョンは1983年の製品で、前身である大沢商会経由でのCADソフト開発から始まります。もう27年前になります。当時のバージョンは、WindowsではなくMS-DOS上で動作していました。「図脳α」という製品になります。

 この頃は、当時自社開発の高速グラフィックスボードを使い、MS-DOS上のアプリケーションからこれを直接制御することで、当時としては画期的な高速描画を実現するものでした。「図脳」という名称は、設計者の「頭脳」と「図面」を融合するという意味で付けられました。設計者の頭の中にあるイメージを、直感的に図面にするソフトウェアなのです。

 Windowsへの対応はVer.3.0の頃で、1992年の「図脳WinCAD」からです。これを5万8000円という(CADソフトとしては)圧倒的に安い価格で販売しました。その後発売された競合製品のAutoDesk「AutoCAD LT」が12万8000円でしたので、かなり安かったのです。といっても、AutoCADも、それまでのワークステーションやメインフレームで使われていたCADソフトに比べると圧倒的に安いソフトウェアでした。CADと言えば、それまでは設計者だけのツールでしたが、低価格にすることで図面に関わる仕事を行なうすべての方にご利用いただけるようになればと思い、思い切ってこの価格にしました。

 紙文化が主流だった日本では、製図は紙を前にしてレイアウトを決めてから図面を書くという方もたいへん多く、海外のCADのように先に全体像を設計してから印刷時にレイアウトをしていくという手法に馴染めない方も多くおられました。そのため「図脳RAPID」のインターフェースは、用紙や縮尺の設定、豊富な下書き線(補助線)など、紙と製図板の世界に近いものにしてあります。

日本的な操作手順の例
日本的な操作手順の例。用紙サイズや縮尺などを最初に指定してから作図を始めることもできる。製図板にレイアウトする感覚で使えるわけだ

 インターフェースという点では、高価なCADは多機能でさまざまなことができる分だけ操作も専門的ですが、「図脳RAPID」は初めてCADソフトを触る方でも馴染みやすいようにコマンドを構築しているので、「マニュアル無しで操作が覚えられた」、「数日で基本操作がマスターできた」というお話も多数いただいております。

 毎日CADに接する設計者の方でしたら少々難しいインターフェースでも徐々に慣れていきますが、月に2、3回しか図面を書くことのない方は、なかなか操作を覚えるのが難しいので、簡単に操作を習得できて、新しく配属された方でも即使えるということを重視されるようです。

図脳RAPID 16/16PROとオプションパッケージ
「図脳RAPID 16/16PRO」とオプションパッケージ

 このような理由から、「図脳RAPID」は設計者のみならず、生産技術や施設管理、技術サービス、営業から日曜大工や模型などのホビーに至るまで、図面に携わるすべての方に幅広く利用いただいています。

中村 Windows 7に対応したのは、今年1月に発売した「図脳RAPID 16/16PRO」です。今回は3年ぶりのバージョンアップで、パッケージもロゴも全面的に作り直した、いわば自信作と言えます。

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