Windows 7対応の裏側に見た国内ISVの秘めた実力 第7回
エス・エス・ジェイ「SuperStream-NX」
日本生まれの会計ソフトがSilverlightでUXを手にした理由
2010年02月12日 09時00分更新
今回は、エス・エス・ジェイ(SSJ)の経営基盤ソリューション「SuperStream-NX」を取材した。同社は現在キヤノンITソリューションズの子会社であり、SuperStream-NXはSSJとキヤノンITソリューションズが共同開発を行ない、販売とマーケティングをSSJが担当している。
話を伺ったのは、SSJのマーケティング企画部広報担当の佐々木節子氏と、キヤノンITソリューションズのソリューション推進本部SuperStream商品センター商品企画部部長の尾花俊孝氏のお二人(以下敬称略)。
―― まず、今回Windows 7に対応したSuperStream-NXの概要を教えてください。

キヤノンITソリューションズの尾花俊孝氏
尾花 SuperStream-NXは企業の業務用ソフトウェアで、サーバー版とクライアント版、そしてデータベースサーバーで構成されるソフトウェアシステムです。今回、そのクライアント版をWindows 7に対応しました。正確に言うと、クライアントはWebベースのアプリケーションで、Silverlightを使っています。
SuperStream-NXは、大きなくくりでは3番めのシリーズに当たります。1995年の「GL」シリーズ、1999年の「Core」シリーズに続くものになります。
佐々木 もともと当社(SSJの前身にあたる企業)は、米国の会計ソフトの会社でしたが、日本での販売において日米の会計システムの違いなどもあり、日本独自にソフトウェアを開発すべきということになって、独自の製品を開発しました。その製品が「SuperStream」です。
―― Silverlightをどのように利用しているのでしょうか?
尾花 会計ソフトでは、たとえば大項目(活動経費)の中に複数の小項目(交通費、交際費、会議費など)があるといった場合が多いのです。そうした画面を見ていくときに、項目名を1クリックするとその詳細が見えるようなユーザーインターフェースを作りました。いちいちサーバーに問い合わせることなく画面を切り換えられるというのが、Silverlight採用のメリットだと感じています。
また、「駅すぱあと」のSDKを組み込んで、たとえば経費計算でその日の経路を入れると、自動的に正しい運賃が出るような仕組みも入れています。
―― どれぐらいの規模でSilverlight化したのでしょう?
尾花 通常のソフトウェアでいうと150画面分ぐらいを、Silverlight化しました。完成したアプリケーションは50画面ぐらいにシュリンクされています。画面遷移やサーバーリクエストの数を大幅に減らすことができました。
基本的にはSilverlightで用意された機能を使っていますが、(日付入力のための)カレンダー画面は、標準のものが利用できなかったので自作しました。また、ユーザーの個人設定を記録して、たとえば画面レイアウトや検索条件などをカスタマイズできるようにしてあります。このあたりも、Silverlight採用で可能になったものです。
―― そもそも、なぜSilverlightを使おうと考えたのでしょう?
尾花 企画段階で、画面=プレゼンテーション層とビジネスロジックを分離することを考えていました。お客様向けにカスタマイズするとき、画面に対する要望が最も多いのですが、従来の作り方だと、ロジックとプレゼンテーションが簡単には分離できず毎回同じように苦労を重ねるため、よりよい方法を模索していました。クライアント側はWebアプリケーションが前提でしたので、なかなかいいものがなかったところに、マイクロソフトさんから提案を受けました。
我々でも評価してみたところ、フレームワークがしっかりしているという点が選択のポイントになりました。実際に作ってみると、全面的な変更になりました。データ構造などの変更も必要となり、サーバー側も書き換えることになったのです。
―― Silverlightのどのバージョンで開発されたのでしょう?
尾花 開発そのものはSilverlight 2ですが、現在はそれをSilverlight 3上で動かしています。互換性には特に問題ありませんでした。

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